2019年1月5日の二日市・太宰府歴史散策の続き。
「坂本八幡宮」「オカッテンサン鬼子母神堂」をお参りした後は、「国分瓦窯跡」に向かいました。
坂本八幡宮・オカッテンサン鬼子母神堂のレポ
https://ameblo.jp/indyaki12/entry-12539277229.html
「オカッテンサン鬼子母神堂」から路地を西に進み、左に「坂本公園」が見えて来たら、右折し路地を進んで行くと、史跡案内板が見えて来ます。
「御笠団印出土地」「文化ふれあい館」「国分瓦窯跡」「筑前国分寺跡」とあるんですね~これは楽しみ♪
矢印の指す方向に進むと、左側に石碑と案内板があります。
こちらが、先程の案内板にあった「御笠団印出土地」。
「御笠団印出土地」の由緒書き。701年の大宝令に定められた軍団(軍隊)の印判が発掘された場所です。「御笠団印」が出土した場所、ということなんですね。何と読むのか、分かり辛かった…(^^;
軍団は全国に置かれ、普通、一軍団は兵士千人で構成され、兵士は成人男子から三人に一人の割合で徴発されました。
平安時代初め、筑前国には4軍団があり、この印にある「御笠軍団」はそのうちの一つだったと思われます。
近くの水城小学校からは「遠賀団印」が出土しています。
この印判の写真は、現地にはありませんでしたので、ネットで検索すると、「太宰府市日本遺産活性化協議会」さんのHPに写真がありました。
太宰府市日本遺産活性化協議会HP
https://www.dazaifu-japan-heritage.jp/bunkazai/detail.php?cId=333
「御笠団印出土地」から北に進むと、「太宰府市文化ふれあい館」があります。
建物内には入らなかったのですが、敷地内の建物の周りを回ってみると、「辻遺跡第1次調査」という説明書きがあって…。この「文化ふれあい館」ができる前は、福岡県の職員住宅で、桜並木の美しさは有名で、その前は桑畠でゴロタ石が多く、畠にするのが大変だったそうです。
発掘調査を行った処、奈良時代から鎌倉時代の建物の柱穴や井戸跡、墓などが出て来ました。
特に注目されるのは南の方にある(現在の体験学習広場付近)東西方向の2本の溝で、奈良時代の道路の側溝と考えられ、約9m離れて平行に流れていることから、道路幅は6~8mほどに復原できます。
この道路を西へ辿って行くと「筑前国分寺・国分尼寺」の南を通り、博多方向から水城の東門を通って大宰府に至る官道(およそ現在の旧国道3号線に重なる)に接続しているようで、この周辺は奈良時代に計画的な街づくりが行われていたと推定されます。
この先に「筑前国分寺跡」があるということは、整備されていても不思議ではないですよね。
敷地内には、柵で囲われた七重塔が!
この七重塔は「筑前国分寺七重塔」。筑前国分寺跡に建てられていた七重塔を10分の1スケールで復元したもので、模型で5.4mの高さがありますので、実際にはこの10倍!
国分寺は741年に聖武天皇が国を護る目的で全国に命令して建てさせたもので、福岡県内には他に、「筑後国分寺(久留米市)」「豊前国分寺(豊津町)」がありました。
塔が完成した当初は、柱は朱色、壁は白色、窓(連子窓)は緑色に塗られ、相輪や風鐸は金色に輝いていました。
今回の復元は、当時の色を塗らず、もし今日まで建ち続けていたらこのような感じになっていたのはないか、という思いから古色で仕上げてみました。
古代の大宰府には、「観世音寺」「般若寺」「杉塚廃寺」などに塔があり、都をイメージさせる光景が広がっていましたが、今は礎石を残すのみとなっています。
「筑前国分寺七重塔」に近づいて…。
更に敷地内を進むと、柵内に石が置かれていました。
こちらは「箱式石棺」。弥生時代から古墳時代に用いられたお墓の一つで、石を並べて小さな部屋を作り、その中に遺体を埋葬し、何枚かの石で蓋をしたもので、九州や山陰地方に多く見られます。
ここに展示したものは、右が「宮ノ本遺跡7号墳(大字向佐野/古墳時代前期」、中央が「成屋形遺跡(大字水城/古墳時代中期)」、左が「宮ノ本遺跡6号墳(大字向佐野/古墳時代前期」に使われていたものです。
左のものは板石を上手く加工して部屋を作り、二人の人が埋葬されていて、右と中央のものは、大きめの河原石の平坦な面を内側に向けて部屋を作っています。
こうした石棺を使って埋葬される人物は、当時の社会のごく一部の人に限られていたようで。強い権力を持っていた人たちではないかと考えられています。
「文化ふれあい館」を後ろの方から眺めて…。
こんな説明書きも…。「瓦屋根」。北側(収蔵庫)の屋根は、古代の大きな建物に用いられていた屋根をイメージして作られているもので、寄棟造と言われるものです。他に切妻造(玄関部分に当たります)、入母屋造(観世音寺講堂など)といった形があります。
古代の瓦葺建物は本瓦葺と言って、平瓦と丸瓦を交互に重ねる方法を取り、軒先の瓦には蓮華文唐草文等の紋様が付けられていて、ここでは「筑前国分寺」が建てられて時に使われた瓦の文様を復原しています。
隅棟の先端には鬼瓦があり、建物を護る役割をしていますが、この鬼瓦は大宰府跡や水城跡、国分寺跡などで出土しているものから復元しています。
大棟の両端には「鴟尾(しび)」が載っています。大宰府出土例では復元が困難な為、奈良時代の姿を留めている奈良「唐招提寺金堂」のものから復元しました。
近くにある国分寺金堂は、このような屋根だったのではないかと想像されています。
屋根についての説明書きもあって、これは親切だな~分かり易い♪
「文化ふれあい館」の前を通り、北に進むと、また案内板が見えて来ます。
こちらは、「国分瓦窯跡」。
「国分瓦窯跡(こくぶかわらがまあと)」の由緒書き。谷の斜面を利用して造られた古代の瓦を焼いた窯で跡です。谷部分は江戸時代には堤が造られ池となっていますが、その周縁部では、これまでに9基以上の窯跡が確認されています。
窯跡は、昭和40年代まで、北側(池側)に開口している状況を見学できましたが、現在は水の浸食から保護する為に埋め戻されています。
窯の構造は、壁と天井を日干しレンガで積み上げた登り窯で、床は燃料を燃やす「燃焼部」と製品を焼く「焼成部」との境に段があり、燃焼部の床は奥に進むほど高くなっていて、奥の壁には2本の煙突穴が開けられています。
窯の壁材に煉瓦を使う構造は、九州では珍しく、都から派遣された瓦造り職人によって造られたものと推定されます。
窯跡の周囲からは、「老司式軒丸瓦」の他、縄目や格子模様の叩きを施した平瓦が見つかっていて、窯も複数あることから、奈良時代の初め頃から平安時代にかけて、長期間操業していたと推定され、ここで焼かれた瓦は、周辺の遺跡で出土した瓦の状況から、「筑前国分寺跡」を始め、大宰府政庁や観世音寺周辺の建物の屋根に葺かれていたと考えられます。
へぇ~この地に、古代の登窯があったのか~興味深いな(^^)
石碑や由緒書きのある空間の先は、池になっていて…。フェンスがしてあって、「国分瓦窯跡」の斜面を見ることはできず…残念!(涙)
池に沿って、空き地になっていました…。
「国分瓦窯跡」から西の方向に路地を進んで行くと、右側に、広い空地が見えて来て…。
左側にも広い空間がありますね。
右に見える広場の方に進むと、石積みで一段高くなっている場所があるんですよね。
こちらは「筑前国分寺講堂跡」。「筑前国分寺」の講堂があった場所で、この辺りは、境内だった場所になる訳か~先程、左側に見えていた空間も、「筑前国分寺跡」になるようです。
昭和52年度の発掘調査の結果から、建物遺構は二期に分けられます。
一期遺構は、基壇上部が大きく削平され、基壇の西側部分がカットされている為、基壇規模を直接知ることはできませんが、基壇南辺中央階段及び北辺階段の中心を結んだ線を折り返すと約34mとなり、階段の幅・礎石根石下に廃された環状配石から推定すると、七間×四間の四面庇建物になります。
整備は、この一期遺構を平面復元したもので、礎石は大部分が紛失している為、一応、3個だけ配したそうです。
二期遺構は、一期講堂基壇を南に約1.8mずらしており、その他の平面規模等については、分かっていません…。
階段を上がって、復元された講堂跡に…。右側には、礎石が2個ありました。
礎石をアップで。
左の端にも、礎石があって…。こちらには3個置かれていました。
この地に、筑前国分寺の講堂が建てられていたんですね。
「筑前国分寺講堂跡」から更に西に進むと、道端に、石碑があって…。境界を示すもののようです。
「御笠団印出土地」「太宰府市文化ふれあい館」「国分瓦窯跡」「筑前国分寺講堂跡」を見学した後は、「筑前国分尼寺跡」に向かいました。
その様子は、また後日。
御笠団印出土地
福岡県太宰府市坂本3-23-15付近
https://www.dazaifu-japan-heritage.jp/bunkazai/detail.php?cId=333(太宰府市日本遺産活性化協議会HP)
太宰府市文化ふれあい館
福岡県太宰府市国分4-9-1
国分瓦窯跡
福岡県太宰府市国分4-17付近
https://www.dazaifu-japan-heritage.jp/bunkazai/detail.php?cId=324(太宰府市日本遺産活性化協議会HP)
筑前国分寺講堂跡
福岡県太宰府市国分4-14
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