私の居住区には「木曽三川」と呼ばれる一級河川群がある。
ある日の夕方、その堤防道路を流していたところ、前方にツーリングの集団と出会った。
大阪ナンバーのネイキッドが数台。
風貌から学生と思われるその集団は、「ヤエー」を楽しみながら南下していた。
特に最後尾の男はテンションが高く、河川敷でスポーツしている人や川でジェットスキーしている人にまで手を振っていた。
それを見て私はとても心温まる気持ちになった。
懸命に「何か」に手を振りたくなる彼の心境が良く解るからだ。
夏の休日の夕方
遠くまで見渡せる堤防道路のフラットな視界
空は茜色に染まり
風景に溶け込んでいく仲間の背中・・・
きっと彼はバイク特有の「突き抜ける開放感」を全身で感じた違いない。
思えば若い頃の自分もあんな感じだった。
バイクの素晴らしさに陶酔し、明日も良い事が起こるという根拠ない自信に満ち溢れたあの頃。
もう戻る事は出来ないが、こうして色褪せない思い出に浸れるだけ自分は幸せだと思う。