【倉琉ヨシーデの独り言】


862   倉琉ヨシーデの不安定日記


    7月11日


   小説

  ◉ 「走れエイト!」102


そして直樹は衛登に


なんで警官が

ウロウロしているか話をした。


「あのさ 

 『衛登がヤクザに狙われてる』

 って


 雅人さんが警察に届け出て

 一応 

 道場の周りを

 警備してもらっているみたいだよ。」


「エッ 雅人さんが!」


衛登は

何も聞かされていなかった

ようだった。


「衛登が忙しそうだと思って

 連絡しなかったみたいだよ。」


直樹は

急に連絡をもらったようだった。


「三つの道場とも

 全部が警備対象だったのかなあ。」


衛登は

『忙しいのに警察も大変だなあ』

と単純に思ったらしい。


「全部が対象だったみたい。


 警察が警備するってことは

 けっこう

 事件性があったみたいだよ。


 だから俺は近くの交番に行って

 御礼をしようかと思い

 簡単な手土産みたいなものを

 持って行ったんだけど・・・。」


直樹は言葉を濁した。


「えっ いいことだよ。」


衛登が思うには

直樹は間違ったことは

してないと思ったようだった。


「ところが警察官が二人いて

 先輩みたいな警察官が


 『そんな事をされたら困る。


  とっとと持って帰ってくれ。』


 と怒鳴るように怒られた。


 後輩みたいな警察官が

 困ったような顔をしてるのが

 印象的だったが

 仕方なく帰ったよ。


 もともと俺は

 怒られる事が多いと思っていたが

 交番に来てまで怒られるとは

 思わなかったよ。


 ヤクザと警官は

 紙一重って

 言われるぐらいだから


 ほんとに怖いなあって

 痛感したよ。」


直樹は

怒られた自分の情けなさもあって


警察官の怖さを

大げさに表現して悔しがった。


そんな話を

衛登と直樹が話していると

一本の電話がはいった。


青龍支部の桐生からだった。


電話越しの桐生は

なんか慌てた感じで話してきた。


「衛登さんが本部にいると思って

 電話しましたが

 いて良かったです。」


「なんだ!


 どうした?」


慌てているような桐生に

衛登もつられるように電話に出た。


「今日は道場が休みで 

 岳野原と稽古してたら


 なんか外で大きな音がしたから

 見に行ったら


 警官が二人 血だらけで倒れてて

 誰かにやられた

 みたいだったようです。」


電話だったので

桐生は詳細を掻い摘んで話した。


「いったい誰が!


 何か起きてるようだな。」


衛登はどうなってるか

分からなくて混乱してるようだった。


〜つづく〜