【倉琉ヨシーデの独り言】


792   倉琉ヨシーデ不安定日記


    5月02日


   小説

  ◉ 「走れエイト!」32


桐生たちだった。


「あの新しく入りたい人ですか?」


真寿美は分からないので聞いてみた。


「はじめまして 真寿美さん!


 私は桐生宗一と言います。


 衛登さんの敵です。


 こいつらは俺の部下です。」


桐生は律儀に自己紹介した。


「分かりましたが

 私に何のようでしょうか。」


真寿美は訳が分からなかったが

桐生はどうやら下調べをして

衛登がいない時を狙ったようだ。


「俺とこいつらで5人出すから

 勝負してください。」


つまり桐生は勝負しろという事だった。


「あの 今日は師範も師範代も

 いないので出来ないです。


 ゴメンナサイ。


 今日のところは申し訳ないですが

 お引き取りください。」


真寿美は丁寧に断った。


そしたら桐生の言葉尻が

急にきつくなった。


「いいから早く始めろや。


 こっちは待ってんだよ。」


桐生は完全に猫を被っていたが

今度は脅しとも取れる

言葉を言って来た。


《仕方ない やるか!


 でもどうしたらいいか分からない。》


真寿美は心の中で

どうしたらいいのか困っていた。


みんなで誰を出したらいいか

相談してたら二人の人が名乗り出た。


それは タカイとキムチだった。


二人は衛登に迷惑をかけたり

世話になったりしたので

ここぞとばかりに出てきたのだ。


タカイいや岳野原海斗が出てきた事で

岳野原道場で散々

世話になった人が数名出てきた。


真寿美はどうしたらいいか迷ったが

タカイとキムチを選出して

あとはタカイに聞いて

空手が強かった人を3名選んだ。


なんとか5人が決まったが

どうなるかは分からなかった。


中央の審判は

中河空手道場から出した。


まず先鋒が両者 出てきた。


「はじめ!」


二人は構えて向き合った。


敵が左下段蹴りを出した。


味方はそれを受けて我慢した。


また 

敵が左中段回し蹴りを腹に出した。


そして 

また味方はそれを受けて我慢した。


さらに敵が左上段回し蹴りを出したが

これは少しかすった程度だった。


味方の人は受けてばかりだったが

後半はけっこう受けが冴えてた。


あっという間に2分が過ぎて

延長戦になった。


「すいません。


 あまりにハアッ ハアッ

 言ってるので

 少し水を飲ませたいのですが。」


真寿美が相手に言ったが

そのついでに作戦も与えたかった。


「いいですか。


 よく聞いてください。


 相手は左の攻撃が多いですから

 左の回し蹴りが来たら

 右の軸足を狙ってください。


 だいたい それで倒れますから

 立ち上がった時が勝負です。


 右の回し蹴りでこめかみ辺りを

 狙ってください。


 それで倒れてKO勝ちです。」


真寿美は耳もとで軽く伝授した。


〜つづく〜