224 倉琉ヨシーデの独り言


  〜タイムスリーパー不安定日記〜


   10月07日


  ◉ 小さい声(天花乱墜)


ある日 家の電話がなった


《俺が普通に出た》


まだ携帯電話が

一般的ではなかったので

家の電話がなったから

普通に出た


《誰だろう》


ヨシーデは

昔から声が小さかったので

電話に出るのがイヤだった


《電話は怖いよ》


でも声は小さかったが


天花乱墜

(てんからんつい)


で 話し方が生き生きとしている

と思っていた


《自己満足だな》


だが 案の定聞き返されたので

もう一度

同じ事を言って電話を続けた


《そんなに声が小さいかなあ》


電話は息子に用があったが

何かで言い合いになって

電話が長くなった


《俺は短気だからなあ》


ちなみに

言い合いになるとは

口論になる事を言うが


あまり話さないヨシーデだが

よく口論になっていた.


話をもとに戻そう.


電話の相手は

息子の同級生の女の子だった


《今思うと

 俺も大人気なかったが

 この子も酷かった》


あまりにも

ヨシーデの声が小さかったので


その女の子が

「早く代わって」

と要求するように言ってきた


《急に言われてびっくりした》


生意気な言葉遣いだったので

何も言わずに電話を切った.


失礼だと思ったが

「早く代わって」

は さすがにないと思った.


そしてヨシーデは思った.


要するに

生まれつき声の小さいヨシーデは

心の声も小さい叫びだった


《生まれつきは

 相当努力しないとダメだな》


〜つづく〜