181 倉琉ヨシーデの独り言


  〜タイムスリーパー不安定日記〜


   8月25日


  ◉ 遠吠え

      (堂か歪んで経が読めぬ)


昔 大きな犬を外で飼っていた.


《みんなが大きな犬で怖がってたなあ》


夜10時くらいになって

外で犬が遠吠えして

いるのに気がついた


《そりゃあ夜は怖いよなあ》


こんな夜に鳴いて

近所迷惑だと気にはしていた


《まあ夜だもんなあ》


ちなみに

犬はなぜ遠吠えをするのか

わからないので調べてみたが

◯群れへの合図

◯敵の撃退となわばりの主張

◯騒音に対する反応

◯精神的苦痛の表現

◯身体的苦痛の表現

などが あった.


話をもとに戻そう.


すると家の電話がなった


《こんな夜に誰だろう》


電話に出ると

川の向こうの家だった


《こんな夜に!》


電話の話を聞くと

「犬がうるさくて眠れない」

と言う.


ヨシーデは 

やっぱり うるさかったかと思った.


電話を切って

すぐに犬の所に行った.


犬は川沿いの所に

つながれていたがずっと鳴いていた.


今 考えると

犬も家から

ちょっと離れた場所につながれて

可愛そうだと思った


《ひどい事をした》


堂か歪んで経が読めぬ

(どうがゆがんできょうがよめぬ)


というが

上手に経が読めないのは

仏堂が歪んでいるせいだ

という僧の言い訳

みたいで

自分の怠慢や失敗や落ち度などを

犬の責任にしたと思っていた.


ひとりぼっちでつながれて

暮らしているのだから

鳴くことぐらいしか

出来なかったと思う


《犬の訴えだったと思う》


それなのにヨシーデは

うるさいと言って犬を叱った


《人間の勝手な独りよがりだ》


どうして

もっと犬の気持ちに

寄り添えなかったのかと

いまさらながら思う.


そしてヨシーデは思った.


要するに

犬も人も

何か理由があるから行動するので

理由無しに行動なんてしない.


もっと深く考えれば

よかったと反省している.


〜つづく〜