154 倉琉ヨシーデの独り言


  〜タイムスリーパー不安定日記〜


   7月29日


  ◉ スーパースター

    (問うに落ちず語るに落ちる)


うちの親は同じ歳だったが

母親の方が生まれた月日が

3月2日だったので

10月14日 生まれの

父親より早く生まれている


  《違う学年になるんだね!》


だから いつも母親は

年下の男は 頼りないと嘆いていた


  《同じ年に生まれたのに

   年下の扱いなんだね》


年中 それを聞いていた

ヨシーデは年上の女性が

少し 苦手だった 


  《ほんとに年上の女性と

   付き合ったことがない》


それから倉琉ヨシーデは

恋愛というものが

あまり

よくわかってないみたいで

年上の女性を敬遠していた


  《なんだろう!

   年上の女性は 

   なぜか怒られるような

   感じだったのかなぁ》


でもアドバイスを

年上の女性からけっこう もらったり

していたので尊敬はしていた


  《決して嫌いだった訳では無いが

  苦手意識あったかも知れないなあ》


ちなみに

年上の女性は

自立していたり

余裕があったり

教養があったりで

けっこう魅力があったと思う


  《なのに避けていたんだねぇ》


話をもとに戻そう.


ある晩 むしゃくしゃして

落ち込んでいる時に

先輩がピアノを弾いているワインバーに

飲みに来ないかと誘われた


  《この時に年上の女性も誘ったよ》


年上の女性と飲みに行ったのだが

いろいろな事を

話をしてリラックス出来た


  《付き合えばいいと思うが

   そういう感じではないみたいだ》


飲んでると 少し

気持ちよくなったヨシーデが


「先輩 一曲歌ってもいいですか?」


と言ってマイクを取った


  《よっぽど

   気持ちよかったんだねぇ》


ピアノの横でヨシーデは

スーパースターという曲を歌った


  《得意気に英語の歌を歌ったよ》


その横で年上の女性が


「今日のスーパースターは

 あなた だね」


と おだててくれた


  《おだてに弱いのも考えものだよ》


ヨシーデは

酔っぱらって

余計な秘密をしゃべったにも

関わらずスーパースターと

言ってくれた事に感謝した


  《とにかく年上の女性と飲む時は

   気楽で良かったよ》


その晩のヨシーデは

年上の女性に


問うに落ちず語るに落ちる

(とうにおちずかたるにおちる)


人から聞かれると

用心して漏らさないような秘密でも

自分から話をしているときは

ついうっかりして

話してしまうものだ

ということだった


  《やっぱりヨシーデにとって

   年上の女性は魔物だよ》


あまり話さない

単純なヨシーデは

この女性の一言がなかったら

ひとりになった時に

もっと落ち込んでいたと思う


  《魔物というよりは

   女神サマだったかなぁ》


そしてヨシーデは思った.


要するに

ヨシーデは

嫌いな年上の女性

(そんなに嫌いではないと思うのだが)

に救われた晩だった


  《ほんとに

   救いの神様だったかも

        知れないよ!》


〜つづく〜