【倉琉ヨシーデの独り言】


763  倉琉ヨシーデ不安定日記


    4月03日


   小説

  ◉ 「走れエイト!」3


衛登はダメ元で言ってみた。


「俺 出来るなら

 空手の道場をやってみたいんだ。」


ダメ元だったが

それなりの決意はあった。


何かを売るかと思っていたが

衛登は教える方を選んだ。


ただ直樹は

同級生だったために知っていた。


衛登が小学生の頃から

空手をやっていたことを

違う同級生に聞いていたのだ。


「そう来たか!」


直樹は軽く頷いた。


「俺 小さい頃から

 なぜか武道が好きで

 空手をずっと やってたんだ。」


さらに衛登が続けた。


「いつか空手道場を資金さえあれば

 やってみたいって考えていたんだ。」


「いいよ いいじゃない!

 空手道場やろうよ。

 俺も空手やってみたいよ。」


直樹も大賛成だった。


店舗の改築費やいろいろな経費は

雅人が全部 負担してくれると言うので

二人で話し合った結果

空手道場をやってみることにした。


直樹の話によると 

衛登はかなり運動神経が良かったそうで

武道も好きだったが

スポーツはどれも大得意だった。


よく高鉄棒で蹴上がりを

片手でやって来たと俺に言っていたが

誰にでも自慢できるほど

自他ともに認める

運動バカみたいだった。


「オイ衛登 師範はお前に任せたから

 しっかりやってくれよ。」


直樹はもう衛登に何から何まで

任せきりだった。


「お前だって二人しかいないから

 師範代だろ!

 お前こそしっかりやってくれよ。」


とにかく こんな調子だったから

かなり心配だった。


1ヶ月たって空手道場の内装も終わり

明日からいよいよ始まるという時に

3人組の男がやって来た。


「師範はいるかぁ。」


といきなり怒鳴って入って来た。


「師範は今留守ですけど

 どちら様ですか?」


と直樹が対応した。


「師範に言っとけ!

 空手の道場を開くみたいだけど

 他の道場の悪口ばかり

 言ってんじゃないってなぁ。」


いきなりやって来た乱暴者に

直樹は唖然として聞いていた。


「師範がいないなら帰るけど

 あんまり

 勝手なことばっかりするなよ。」


そう言って乱暴者は

捨て台詞を吐いて帰っていった。


すぐに直樹は衛登に連絡した。


さらに衛登は雅人に報告した。


「そうか!

 岳野原道場(たけのはらどうじょう)

 の奴らだな。」


どうやら岳野原道場とは

古くからやっている

道場みたいだった。


雅人は衛登に詳しく事情を聞いたが

衛登はいろいろ弁解していた。


「なにも空手道場を開くために

 悪口を言った覚えはないです。

 ただ岳野原の教え方がひどすぎて

 この教え方に言ったことはあります。」


衛登は岳野原の教え方が

悪いと言ったことがあるみたいだった。


「とにかく遺恨は残したくないから

 しょうがない謝りに行こうか!」


雅人は先に下手に出ようと言うのだ。


〜つづく〜