先週のことでした。
夜、11時頃、商店街でお買い物をして帰ってきた際に、兵庫横丁(神楽坂)に、旅館・和可菜
のおかみさんが出ていました。
夜更かしな方なので、もしかして犬の散歩か?と、思いましたが、「こんばんは~」と声をかけると、「あら、あなた、月がどこに見えてるかわかる??」と、いきなり。^^;
「今日は月が十五夜で、ここまで出てくればすごく綺麗なのが見えると聞いて、出てきたんだけど、見えないのよ・・・」
と。ーまあ、最近確かに、月が綺麗ですよね。
でも、建物にはばまれて、兵庫横丁あたりでは、見ることは出来ません。
「ここまで出てきたから、寺内公園あたりまで出ようかしら・・・?」
と、おっしゃって、歩いていかれましたが、足がお悪いので、神楽坂の階段坂が多いような街は、一苦労かと思います。杖歩きだし、お供しようかとも思いましたが、干渉されるのは嫌いなタイプの方なので、遠慮しました。
しかし、月が綺麗だから。。。。と、見に出ていらっしゃるあたりは、いかにも旅館・和可菜のおかみさんらしいと感じました。
当店とは二軒隣なので、よくお会いするんですけど、好き嫌いのはっきりした方で、風流好きの、動物好き。
ところで、今日、俳優の渥美清さんの17回忌+大原麗子さんの追悼企画ということで、「男はつらいよ」(寅さんシリーズ)が、放映されるそうです。
この「男はつらいよ」などをはじめとする多くの名作の脚本が、この旅館「和可菜」で執筆され、この旅館の別名は、「本書き旅館」(又の名を、出世旅館)と、呼ばれています。
作家がホテルに缶詰になって作品を書くのは、今ではホテルが主流ですけど、その「走り」が、この旅館でした。
きっかけは、おかみさんの実のお姉さんが、昭和の名女優・小暮美千代さんだったからです。
今でも黒壁の表札に、「小暮」(芸名)と「和田」(本名)の二つがかかっていますが、私は昔、女優の若尾文子(現在も存命。故・黒川紀章/建築家の妻)主演の映画「祇園囃子」に、出演していた、とんでもない美人に目が釘付けになって、若尾文子なんて、全然美人じゃないじゃん!これ、誰???-と思って調べたら、その美女が、この旅館のおかみさんの実のお姉さん。(当然ですけど、妹さんも、美人ですよ。)
小暮美千代さんは 、随分前になくなったんですが。
(犬と猫を飼っていらっしゃるのですが、そこの猫(ももちゃん)が、『神楽坂一、可愛い猫』と私は思ってます。ルックスがうちのみーちゃんと似てるし、人見知りな性格も似てて、超~可愛い。)
夜更かしの方なので、時々とんでもない時間に犬のお散歩に出てらっしゃるのに遭遇するのですが、今夜は、寅さん観るのかなあ~?と思いつつ、先週の出来事を、思い出していました。
なんでしょうね。
やっぱり、“この人だから”、という、特別な人って、居ますね。
自然体で、目立ちたがらず、しかし、その生き方や言動、性格、存在が、尊敬を受けるタイプの人って。
最近の日本の、一億総露出状態・一億総「私を見て!」状態とは、対照的な存在でありながら、静かに注目されつづけるひと。
旅館・和可菜は、小さくて古い旅館ながらも、神楽坂を代表する存在であり、その存在感は余りにも大きく、そして儚いので、いつかこのランドマークタワーが、倒れてしまったら。。。(必ずその日は来るわけですが。。。)神楽坂にとって、どれほどの打撃かと思うとともに、その二軒隣に位置できた幸せを思う日々。
私は店の4Fの窓から、隣に二軒続く古い日本家屋の瓦屋根で、猫達が走ったりじゃれたりして遊んでる風景を見ることに、至福のひとときを感じます。
日本家屋って、猫にとって、とっても遊びやすいみたいね。
いつ見ても、余りにも可愛く、愛おしい風景です。