2015東京インターナショナルオーディオショウ | オーディオの楽しみ

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一音楽ファンの目から見たオーディオのページです。いい音で音楽を聴けるのは至上の喜びです。

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Apple Musicが始まり、デジタル・オーディオがストリーミングの方向に進むことがかなり鮮明になる中での、ハイエンド・オーディオショウ。

今回、色々な意味で最も印象に残ったのは、タイムロードのブース。入るといきなり非常に躍動感のある音が鳴っているので何を演奏しているのかと思って席に着くと、なんとiPhoneから有線ケーブル(カメラ・アダプタ+USBケーブル)でCHORDのDAC、HugoTTに信号を入れて、CHORDのパワーアンプ経由で、TADのスピーカーCE1を鳴らしている。iPhoneをCDプレーヤーに代えても演奏したが、音はiPhoneからの方が鮮明に聴こえた。新しいDAC、DAVEによるハイレゾDSDファイルの試演も行って、音自体はその方がステージのライブ感の再現という点で上だったが、体験という意味ではiPhoneの方が強烈だった。
このブースは、定在波対策からか、部屋を斜めに使って(こんなのは初めてだ)平行面の壁を排し、柱状拡散体を配するなどの音響処理をしていたことも、音の躍動感に影響を与えただろう。完成度の高いTADのスピーカーの豪快な鳴りっぷりももちろん寄与したと思う。
私はここ数年はスピーカーを中心に聴いているが、Franco SerblinやYG Acousticsなど有名どころは当然にどれもそれぞれに個性があっていい。珍しいところでは、ハイエンドのブースでドイツのLansche Audioのアクティブ・スピーカーNo.4.1が透明感の高い高音域に、それでいて低音も伸びているという、他のスピーカーがローズウッドとすればヒノキの無垢材のような、アナログにも通じるピュアな音を聴かせていて印象的だった(アンプはEMM Labs)。
あと印象の残ったものと言えば、レコードと真空管。心が落ち着いて心地いい時間が過ごせる。オーディオを部門別にみると、世界的に伸び率が最も高いのはレコードだそうだ。アメリカでは、レコードを買っている人の半分は25歳以下という調査もある。(MusicWatch

一方で今回改めて感じたのは、現代のデジタル・オーディオの最前線を引っ張っている多くの海外ブランド(Weiss、LUMINなど)が、このショウには出ていないことだ。それでいいのだろうか、という気はした。

CD品質、あるいはハイレゾ品質の音楽信号が、ストリーミングで(それにダウンロードも併用できて)ステレオ・システムに直接入って来れば、我々の音楽ライフは一変するだろう。中心となる機器としては、USB-DAC(A/B端子)付きのネットワーク・プレーヤーが有力だ。それに加えて、現状では、膨大な非圧縮音源を持つTIDALにつながることが必須となるだろう(日本ではまだだが。Apple Musicは同じ圧縮音源であるGoogle Play MusicやKKBoxに比べても音が良くない)。
問題はそこへの信号の経路だが、多くの家庭で一般的になりつつある無線LANでもよいが、音質上は不利だ。各部屋にある有線端子としては、テレビの引き込み線がある。これは、インターネットに使えないことはないから、LAN端子が理想としても、現実的にはここらあたりが狙われるのだろうか。
数年来続いていた音の入口の混乱が収束して、今は長い革命の入口に立っていて、その向こうにはいい音と豊かで楽しい音楽ライフが待ち受けているのだと信じたい。