「お、いたいた」


少し飛び跳ねながら、ぶんぶんと手を振って花のようにぱあっと笑顔を開く彼女---花宮 夏---は、僕の新幹線の時間に合わせて、迎えに来てくれていた。



「ごめんね、ちょっと待った??」

「いーやぁ、全然待ってないよー」



浜松駅に着いたのは12時前。

特急電車を降りると一気に生暖かい風が体を被ってきた。立っているだけで汗が溢れて来るような8月の暑さは、常に僕たちに継続ダメージを与えてくる。ガチくそ暑いな、まじで。


帰省をあえて、平日のタイミングにしたのだが、駅の構内は思っている以上に人が多い。

スーツを着て汗を拭く勤勉なサラリーマンに、どこで働いているのか、派手な服をオシャレに着飾っている美形の少女(?)、子供を連れ両親が忙しそうにしている微笑ましい家族。

皆が暑い中でクタクタになりながら、駅の構内の少しだけ涼しい風を少しだけ味わっている。

この駅から様々な出来事に向けて、人が集まり散っていく。


そうして僕たちもこの駅に集まったのだった。


「なんかナツ、嘘ついてる感じするけどなー。もうちょい早めに来た方が良かった??」

「いやぁ、なんかさー、久々に会えるから、こっちはソワソワして早めに来ちゃってるのに、彼氏が早く会いたいから急ぐとか言うから、なんかさらにドキドキしちゃってさー」

「なんや、その可愛い話は。萌えるな」

「えー、なんかそう言われると怖いんだけど、、。」


素直にナツと会えたのは嬉しい。

最近は大学が忙しくて、土日も会う暇がなかったし、もともと夏休みに様々な場所に行くために、夏休み前は、お互いお金を貯める期間にするという約束だった。

ここ2ヶ月くらい、電話しかしてないから、久々の生ナツは萌える。可愛い。抱きしめたい。


「にしても暑いねー! もう私、溶けちゃうかと思ったよー」

「分かる、気分はもう溶けてる。まぁナツが溶けても、俺が全部舐め切るけどね」

「え、何それ。オジみたい。さすがにキモいかも、、、」

「えー、うそー。そういえば今日の髪型かわいいね。ちょっと巻いてる? 」

「うわ、キモ発言の後だと、嬉しさ薄いかも、」

「まぁまぁ、いいじゃん。服も可愛いし、似合ってる。食べちゃいたい」

「やっぱり、一言余計!! でもありがとう!!」


そこまでキモくしているつもりはないのだが、、、。不服だ。だって可愛いんだし、しょうがないだろ。


今日は最後にはお互い家に帰る訳だが、それまではナツとの久々の地元デートだ。

高校時代の懐かしい場所、懐かしい日々を思い出す。そんな良い日にしたい。


「じゃ、行くか! とりあえず、ロッカーに荷物預けたら、あの中華、食べるぞー!」

「いや、私、今日はあのハンバーガーの気分なの! 絶対譲らないから!!」

「じゃあジャンケンだな! いくぞ、せーの!」

「「最初はグー! じゃんけん----」」


とにかく暑い、そんな夏の日だった。