突然だが、私は好きなアイドルがいる。

学生の頃は、周りが

「〇〇くんが格好良いんだけど!!」

「〇〇ちゃん可愛いよな。付き合いたい!!」

などと言っているのを横目に、無関心だったのだが、去年くらいからいきなり推しというものが出来てしまったのだ。

 

大人になったら野菜が食べられるような感覚なのか分からないが、そんな感じで好きなアイドルが出来た私は、程度はそれぞれであるが、推しを応援する活動『推し事』をしていこうと本気で考え始めている。

 

さて、今回の作品は知っている人も多いのではないか。

第164回芥川賞受賞、2021年本屋大賞ノミネート作品である『推し、燃ゆ』だ。

 

この作品は、主人公が好きなアイドルが不祥事を起こすところから、物語が展開していく。

趣味と仕事・生活との両立、精神面の問題、様々な部分が、こういったオタク文化を交えて表現されている、趣向を凝らされた作品である。

 

常に主人公の目線で語られる表現技法なのだが、今回のような身近な題材を扱った作品は、純粋に面白いという感覚と共に、自分にも起きうる問題なのではないかという不安感も掻き立てられてくる。

 

アメコミや時代劇と違う、リアルな臨場感がまた心地よい。

自分に置き換えた感想ばかりが先走り、第三者としての感想を中々出せない、これもまた引き込まれる不思議な作品だった。

特に質感の表現が巧で、感触が想像できるというよりも、思い出すという感じで伝わってくる。

 

内容、比喩、情景の全てが誰かのノンフィクションであってもおかしくないだろう。

 

この話のテーマとなっている、いわゆるオタク活動。

これは、今では多くの人が行っているのではないだろうか。

何も漫画やアイドルだけの話ではない。車が好きで雑誌や展覧会などに人より重きを置いている人は車オタクだし、数学のテストだけやたら高得点な人は数学オタクだ。

 

好きなものを好きといえ、それに準ずる行動を堂々と出来るのは、かなり幸せなことだ。

いわゆる癒しにも繋がるその行為は、オタクをどんどんその沼に引きずり込んでいってしまう。

私も、その沼に笑顔で飛び込んでしまった者の一人である。後悔はしていない。

 

ただ、こういうものは甘味であり、摂取しすぎると体に毒になってしまう場合もある。

何事も程々に。他人に迷惑をかけないように。

個人の楽しみを尊重するために、周りも尊重する。

それが、結局一番楽しいオタク活動なのだと、オタク中級くらいになった私は思うのだ。

 

現在七冊の感想を述べたこのブログだが、私が読書オタクと呼ばれるのは、はたしていつになることやら。

そんな遠い未来を思い描きながら、次の作品を選ぶとしよう。

 

ではでは、今日はこの辺で。