ピアジェは,フランス語圏のスイス人理学博士。彼はプロテスタントを信仰していた。
この方のお母さんは精神的に異常をきたした人で,複雑な幼少期をおくったにちがいないと推される。
発生の認識論にとても関心があり,感覚的なものでなく科学的な方法を重視した。
彼は生物学者として有名人だった。
「生物は構造でもって環境に立ち向かっているのではないか」という考えを基に,
構造(モノ)
VS
機能(働き)
という図式を用い,構造的な側面は必要に応じて変わっていくものであるとした。
不変なものは機能で構造を変えて適応していく。
「発達は学習とか手を加えることでは変わらない」とした。
日本で一番ピアジェ理論を実践したのは,数学者だと言われている。
知的障碍者は周りから手を加えられたとしても変わらないとした。
*知的障碍者に関しては,アメリカはすごく研究した。一番最初に施設化したのはアメリカだと言われている。
しかし,アメリカもケネディ大統領の時に,ノーマライゼーション(デンマークのリルジェ)をうったえ,脱施設化を推し進めた。
いずれも,ベースに人間は変わらないものだという考えがある。
米国は人が変わるという考えに乏しい。
ピアジェの発達理論
① 活動(感覚運動期) 2歳
やってみる→分かる (ガラガラを鳴らすために振る行為,モノが永続する ことが分かる)
② 表象(前操作期)
知覚象に引っ張られてしまう。 同じ数のおはじきを縦に一列に並べるのと,まとめて一か所に置いてみたら,一列に並んでいる方が多いと述べる等。
思考は自己中心的で他者の立場に立つのが困難。
・自分のところからしか見えない。自己を中心化し,視点を自由に動かせない。
③ 操作(・具体的操作期・形式操作期)12歳
対象や出来事について論理的に考えることができるようになる。
仮説や未来,イデオロギー等に関心を持つようになる。
人間の思考はここにきて初めて自由になる。
象的なものをピアジェは評価しない。ある一つの理論を系統化し本当に理解するまでは10年から20年かかる。ピアジェはこれでもダメ,これでもダメかの厳しい人だった。
受肉したものは悪とした。
科学的探究の基となる。変更している要因以外は保存している。
ブルーナーはピアジェのことをこのように語っている。
ピアジェの場合,成長しつつある子供にとって「、世界は静かなところである。空間,時間,因果関係の中に諸対象を配置しなければならない,そういう世界の中で,子供は実質上一人きりである。
ピアジェの発達の説明では,幼児と母親との社会相互性は,きわめてわずかな役割しか演じない。
それに,言語が指し示すその世界の謎を解くのに,言語は手がかりにも手段にもならない。ピアジェの子どもは,心の内的な表象を,経験の構造と均衡させるという,一つの難題を背負っている。ピアジェの子供たちは,人間の状態のごたごたから超越した,小さなインテリなのである。
そして,ブルーナーはこのようにも述べている。
私はピアジェと知り合い,ヴィゴツキーとは会ったことはないのに,人間としてヴィゴツキーの方をずっとよく知っているように感じている。
(余談)
感情や言語的なものは,発せられたものが真意かどうか,正しいのか間違っているのかが捉えづらい。次々と変化してしまうため,真理となるある一つの理論的な枠組みを発見しがたい。だから,ピアジェはそういう心的なものを一切排除して,数学的に臨床実験して仮説を証明したのだと思う。客観的に判断できるもののみが,評価の対象になったわけだ。スマートと言えばスマート。
精神を病んでしまった母親の下に育ち,感情や言葉は,彼にとって不確かで危険なものであったのかもしれない。(これは私の憶測)
ある説は,その人の育った環境や時代背景から影響をうけているものだからだ。