発達障害の人と英語が分らない人との共通点 | 女王様のブログ

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ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

本日以下の本を読んでいたら,

英語教育関連に関係する記述が見つかる。


まずは,「発達障害 はじめの一歩」の5章 サポートのために~発達障害の世界~から,

そこには,発達障害の人々をサポートする際のキーワードとして,「構造化」とある。構造化については詳しい説明があったので, こちらに↓


http://www.pref.ehime.jp/tou50124/saihoken/boshi/reiru/reiru03.pdf#search=' 構造化とは'




構造とは,場面の意味と見通しのこと

構造化とは,それを明確にすること

ある場面で何をすれば良いのかを理解し,安心し,自立して(自分でできることは自分で,出来ないことは人に頼める)行動が出来るように,境を視覚的に分りやすく整理,再構成,明確化する方法だ。



著書の中で, 発達障害者の気持ちを分りやすく説明する為にこの書き出しから始まる。



あなたがもし言葉の通じない国に一人ぼっちで置き去りにされたら・・・・・



人の言っていることもわからず・・・



表示を見ても分からない。



そんなときに頼りになるのは,



通訳!  ですね。



コミュニケーションの仲介をしてくれたり・・・

言葉の意味を教えてくれたり・・・



発達障害の人達が困っている状況も

これに似ているかも・・・



まわりにいる人が通訳になってあげられれば,

彼らも周りもうんと楽になるでしょう。




言葉の分らない国々に行って,



実際生活をしてみないとその気持ちは分らない。


英語の得意な人は,一度,英語以外の,自分が言語を知らない外国に行って生活してみたらいい。

そうすると,英語で悩んでる,女王様の英語嫌いの, その他で優秀なチェケナベイベー達の気持が分るんだ。

良く考えもせず,イケイケヤレヤレ言うのはあんまりにも傲慢すぎる。



同じ言語を話す住人ですら,通訳が必要な場合があることに気が付いていない無知ぶりに,憤りすら覚える。



同じ言語を話すからと言って,心の底から通じ合う仲になりうるわけがない。実際は分らない未知の事柄ばかり。どのような言語であったとしても,言葉で通じあうことのできる部分は私たちが思っている以上に少ない。残念だけど。これは認めざるを得ない事実。



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それからもう一冊の,「発達障害 先生への第一歩」の第4章 海外における発達障害の対応にある,建築デザイナーとして活躍する藤堂高直さんの話。



彼は中学校からイギリスに行って,才能を開花させた。



彼は読み書きに障害があるディスレクシアである。

英国に渡った後に,会話の能力に比べて,読み書きの能力が目立って劣っている傾向があることが分ったそうだ。

中学時代に英語のスピーチコンテストで優勝し,英語で自信をつけることが出来たようだ。



国語力が?(はてーな)の人も,英語のスピーチは良い成績を残せる。



これは,あらかじめ用意された英語を暗記して伝えるため,本人がもともと持っている英語力というよりは,指導者の力量によるところが大きいからだ。

実際に生徒を指導して最優勝を頂いた経験で思う。優勝の事実を知った同僚から「この人は,国語は弱いのだけどね。」と言われたことがある。



ネイティブの英国人は,8歳前後でディスレクシアか否かが分るようになっていて,学校内で教師が簡単に測ることが出来るのだそうだ。




ディスレクシア以外に,ディスカリキュラ(計算困難)もあって,困難さの告知を受けた生徒は,スタディー・スキルという授業を受けなければならないようだ。その勉強の仕方は100人いれば100通りあって,自分に適合する方法で学ぶことが出来る。



試験の時は,ディスレクシアである藤堂さんは,外国人ということもあって,語学の正確さや流暢さよりも,理解力を計られたということだ。多少,スペルミスや文法のミスがあったりしても減点対象にはならなかったと述べている



スタディー・スキルを受けながらスキルを上げ,彼は高校に入ると飛び級で建築の大学に入学する。そして5年かけて大学を卒業する。



現在,彼は日本で仕事をしているが,日本にいて見えてくる問題点がある。



その一言が,

「欧州ではいろいろな個性が共存している状態が普通だったので居心地が良かったけれども,日本人は全員が同じ価値観を共有して,同じようにしている状態が普通なので,とても窮屈に感じています。」だ。



彼は自分の読み書きの能力を知るために東京大学の先生に頼んで計ってみると,小学校の3年生程度のものしかなかったようだ。



しかし,高校時代に英国で受けたIQテストの結果は160で空間認知や図形は200近い数値だった。



彼のように,日本に居たら才能の芽を伸ばすことが出来なかったような人もいる。



今現在なされている試験方法が,本当の意味でその人の能力を計る指標になるかどうかは,はっきり言って分らない。学力を計る基準って一体何なのだろうということは,常に問い続けていかねばならないものだと実感する。




彼が望むような教育が日本でもなされることがよいのだろうか。


うん十年前にイギリスに住んでいたころ,貧しい地域の小学校の先生をしていた女性に会って実際話を聞いて,私はそうは思わない。


子供達は先生をバカにして話を聞かず,無法状態だと述べ悩んでおられた。

報酬も日本よりずっと少ないし,教師は職業としても軽んじられているような国だった。


高校の美術の先生にもお会いした。その当時,麻薬常習の子供が,コンクリートが削られて白い粉になっているものを,コカインだと思って腕に注射し死亡した事件も聞いた。日本ではありえない問題や事件も多い。



彼の手記だけを見て,発達障害者にとっては,外国がいいように安易に思ってしまう人がいたなら,それは危険だ。




発達障害に関する基礎知識が図式で分りやすく説明されており,さらっと読める点ではお勧めの2冊。


発達障害はじめの一歩―特別支援教育のめざすもの/石崎 朝世

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発達障害 共生への第一歩―みんな違うだからいい/藤井 茂樹
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