発達障害関連の本 星野 仁彦 | 女王様のブログ

女王様のブログ

ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

以下の3冊の著者,星野仁彦氏は,実はご自身も発達障害を持っていると告白している。

1987年に米国の精神医学会が発表したADHDは,英語のDisorderを「障害」と一番初めに日本語に訳したところに,誤解を招く原因になったように思うと言われている。このディスオーダーは,ある行動や日常生活を行う上で,多少ハンディのあるもの」という意味合いで使われるものなのだ。

「発達障害」という言葉に翻訳した最初の日本人が,発達障害に対する偏見を作ってしまったように感じる。そういう意味で,外国の言葉を日本語に訳す時は,それが広く一般に広まる前に,最大限の注意を払わないとならないと私は思った。




星野さんの著書の中には,考えさせられる題材が多く書かれている。

ルーマニアのチャウシュスク独裁政権下で、労働力を増やすために避妊と中絶を禁止し,女性は4人以上の子供を産むように強制された時代があったのだけれども,その結果,政権の崩壊後,生活の苦しさから子供の育児放棄をする親が続出して,大量のストリートチルドレンが発生したのね。その後,一部の子供達は西欧諸国に養子として迎えられたのだけれども,イギリスとカナダの里親に引き取られた子供たちの追跡調査をしたところ,165例のうち21例(12.7%)に自閉症の症状が認められたのですって。日本での自閉症の発生率は150人に1人(0.7%)だから,かなり高い確率で発症していることになる。彼らの検査所見を調べると,脳の一部(大脳辺緑系)が委縮していて,親から放棄された期間が長いほど,はっきりとした委縮が認められたそうよ。つまり,親の虐待や育児放棄が自閉症を発症させ,脳の委縮まで引き起こすことがわかったわけ。






虐待と発達障害には何らかの因果関係があって,虐待や育児放棄があったから発達障害を発症したのか,発達障害があるから虐待や育児放棄を受けやすいのかは,「鶏と卵」の関係だと述べられている。



ここからは,星野さんが述べられているところを引用する。






発達障害は,生まれつき,あるいは乳幼児期に何らかの理由(遺伝,妊娠中・出産時の異常,乳幼児期の病気など)で脳の発達が損なわれ,本来であれば,成長とともに身に付くはずの言葉や社会性,感情のコントロールなどが未発達,未成熟,アンバランスになるために起こると考えられています。一言でいえば,脳の発達に凸凹なのです。




発達障害は,けっして稀なものではありません。各種統計によれば,ADHDやLDとされる子供の割合は15歳未満では6%~12%に上ります。ざっと1割です。




実際には,その多くが養護学校や特別支援学級ではなく,普通学級に在職し,そのまま高校,大学へと進み,社会へ巣立っていきます。

発達障害と気づかず,見過ごされたまま大人になることが少なくないのです。



発達障害の子供は,一般にストレスに対する抵抗力(ストレス耐性)が弱いため,いじめにあったり,不登校などになりやすかったりもします。うつや睡眠障害などを併発することも珍しくありません。このようなケースでは,どうしても周囲は,発達障害と向き合う以前に,そうした2次的な障害に目を奪われがちです。




横並びの意識の強い日本の社会では,世間の手前,親も教師もなかなか子供の障害を受け入れようとしない側面があります。「うちの子は普通の子」と考える親が圧倒的に多いのです。こうしたことから,周囲も本人も発達障害に気づかず,あるいは,それと認めず,潜在的な問題を抱えたまま大人になり,社会へ出ていくケースが少なくないのです。




「言動が非常識すぎる」親は発達障害の可能性がある。

親自身が発達障害の傾向がある場合には,感情的になりやすくストレートな物言いは禁物になる。教師は親の性格などを見極めて,慎重の上にも慎重を重ねて対応する必要がある。発達障害の大人はいろいろな依存症を引き起こしやすいことが知られています。


1.アルコール依存症

2.薬物依存症

3.たばこ依存症

4.カフェイン依存症

などの「物質依存」


5.過食症

6.ギャンブル依存症

7.買い物依存症

8.セックス依存症

9.自傷行為依存症

などの「行為依存症」


10.恋愛依存症

11.夫婦間暴力

などの「人間関係依存症」




発達障害を見逃したまま,治療もサポートも受けずに大人になると,こうした依存症を持ちやすくなるほか,うつ病や不安障害,パーソナリティー障害,反社会的な行動を合併しやすくなります。これらは本人にとっても負担になりますが,家族や周りの人間とトラブルを起こす原因にもなります。



発達障害を見過ごされる子ども、認めない親 (幻冬舎新書)/星野 仁彦

¥777

Amazon.co.jp


発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)/星野仁彦
¥819
Amazon.co.jp

発達障害に気づかない大人たち<職場編>(祥伝社新書237)/星野仁彦
¥819
Amazon.co.jp

大学の英語教育関連の研究者の方々は,子供たちの多様性には一言にも触れられない。英語を話せるようになりたいと本当に思う人たちは,誰が言わなくても自ら機会を見つけ,力をつけていけるもの。

何らかの理由で,それが出来ない人達に対する言葉はあまりない。


問題となるのは,何らかの理由で社会において生きづらい人間。

今までは豊かだったが故に,問題とならなかった人達も,このような厳しいご時世では,蓋をされ取り残され,何の手当てもなく進んでいってしまう。


そういう生きづらい人達に関わらず,その対応の難しさも知ることなく,表面上だけで教育が語られる居心地の悪さは,現場にいれば皆が感じている感覚だと私は思う。


学習指導要領も,それ相応の発達段階を経てきている者を基準としているわけで,

発達に何らかのつまずきがある人間には,到底適応できないもの。それが頭だけで実際に身体で体験し理解できないのが,俗世を離れているのではないかと思わずにはいられない,壁があるようにしか感じられない理由なのかもしれない。