歌はもちろんなのだけど,
この方の話術は優れている。
どこがどう優れているかというと,アルゼンチンのマラドーナみたいな感じ。
(多分全然分からないだろうが)とにかく,聴衆を飽きさせない,ずっと聞いていたいようにさせる魅力がある。
インディーズのシュガーベイブの時代から,かれこれ今年で35年になる話。
奥さんの『竹内まりや』の話もあった。人前に出るのが苦手なタイプの方なので,女房のおかげで社会性が保たれていると述べておられた。
この方の凄いところは,まったく大きなメディアに出ないこと。
メディアに出ない理由を,
「大きなメディアでは,イメージが固定化してしまう恐れがある。イメージだけが独り歩きしてしまうのが嫌であった。それと,自分の音楽を大事にしたかったから。」と述べられていた。(カッコイイ)
メディアに出ないからこそ,どんな方なのだろうかと逆に一般大衆の興味をそそられる。
35年経った今でも,全国のどの会場でもチケットがSOLD OUTになるくらいの人気がある。
本当に才能のある人は,隠すんだよね。そう簡単に公にしない。
コンサート会場では,30年前は,聴衆を挑発して扇動するような,ノリの良い曲が流行っていた。自分(山下達郎)たちのような,きれいなメロディ,美しい音色を大切にする,聞かせる音楽は流行らなかったそうだ。ある日,日比谷の野外コンサート会場で,矢沢永吉だとかその当時のスター達の後に,シュガーベイブの出番になったら,お客さんから「ノリがワリ―ぞ!」っと言われてしまったようで,その時の様々なことが今でもトラウマになっていると語っていた。
時代を超えて輝きを増し,理解されるものは,その当時の大衆には分らなかった。その当時に持て囃されたアイドルたちは,現在ほぼ消えていったけど,彼の音楽は若い世代の人たちにも感動を与え続けている。初めてコンサートに行って,私も山下達郎のファンになった。
鳥肌が立つくらいの音楽に,ここ最近会ったことがなかったのだが,彼の音楽を聴いて立った。
35周年記念コンサート(その後4本追加になったようだ,39本)と銘打って,全国ツアー真っ最中。
57歳のお歳を感じさせない,音楽のセンスと,艶があって変わらぬ声の美しさ。3時間があっという間だった。
私より年配の方々が,総立ちとなり踊りながらノリノリのコンサート。シュガーベイブの時代のことが嘘のようだ。彼は語る,「まさか自分が,35年経った今でもこうやって全国のコンサート会場で歌を歌っていられるとは,想像だにしていなかった。」と。