慶応義塾大学言語教育シンポジウム  英文解釈法再考(斉藤 兆史先生)② | 女王様のブログ

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慶応義塾大学言語教育シンポジウム  

英文解釈法再考(斉藤 兆史先生)①の続き



斉藤先生が,英語教師は「Generalistたれ!」と述べられたことと同じか,それ以上に印象に残ったのは,

先生がNHKの放送大学で講義した内容が映し出されたときだった。



国も世間も,英語教師には色々と注文を付け要求してくるが,では一体どうすればよいのかという具体的な方法を示してくれと言えば,誰も示せないままでいる。様々な研修会で,指導助言する人間ですら,何が最良か,どうすべきかなど示すことは出来ていない。そのような中にあって,先生が放送大学で取り上げた題材と,先生の指導法は良かった。



先生の教授法は,日本語をおり交ぜたもので,内容のあるものを学習者に分かりやすく教授してくれていた。イギリス仕込の特有のアクセントで読まれる先生の英語は,大津先生には鼻に付く感じがしたらしいが,わたしには全然そのように聞こえなかったし,むしろ懐かしく感じられた。



正しい発音で流暢な英語を話される先生を知り,さすが東京大学の先生だわ,さすがNHKの番組の講師になる方なのだわと思った。


自身の英語に自信がおありになる方だからこそ,英語教育時評で,はっきりと述べられていたのだと感じた。



放送大学を受けている学生達の多種多様な年齢層や,立場を想定してのことかもしれないが,現場の英語教師たちの生徒の英語に対する能力差のある教室においても,通じるところがあった。


先生が取り上げた英語の内容は,イギリスのある応用言語学者のインタビューであった。


簡単に述べると,このようなものだ。(簡単すぎてすみません,実際は10倍くらい長い英文だった。)


「あれやこれやと目まぐるしく流行の指導法があみだされる中にあって,言語教師がそれに振り回されることは愚かなことであり,言語教師は批判力旺盛に自身のやり方に自信を持ち進むことが大事である。そうでなけれは,彼ら(言語教師達)が可哀想である。」と。


ここに出てくるFashion(ファッション)は,はやり,一時的な流行を指している。


「流行」を追うのではなく,自身が此のやり方が最適だと信じる方法を行っていけばよいということである。



英語教育のファッション化を阻止したいと思っていたわたしは,先生の言葉がすごく励みになった。大丈夫,間違ってないと肩を押していただけたように思う。

先生のお勧め英文解釈教材は,


山本史郎

『東大講義で学ぶ英語パーフェクトリーディング』株式会社DHC,2010(聴衆に化粧品の会社でないことを強調されていた。)


真野泰

『英語のしくみと訳しかた』研究社,近刊。

(この方は,日本にいながら海外で過ごすことなく高校一年生で英検一級を取得した人らしい,わたしの近くには,中学2年で英検一級取得した人がいる。でも此の人はシンガポールの日本人学校で学んでた人だ。余談。)



ジェネラリストのことやファッションのことを話題にされていたので,斉藤先生はわたしのブログをご存知で,ご覧になっていたのかしらとちょっと自意識過剰になってもみた。


本当に力があり,知恵があり,慈悲がある人は,一言でその人の考えることや悩みを言い当ててしまう。悩みの根源を突き止めてしまう。その悩みの呪縛からその人を覚ましてくれるものだ。


良心的で,素晴しい人は,自身の名声を得るために,現場の教員を利用したり,益々窮地に陥れるよう,自分はしてもいないことを他人に煽ってしろと命じ,偽善的な言動をしたり,全国をまわっていると自慢したりするようなことは絶対にしない。「俺達はスペシャリストだ!」などと絶対に言わない。



そのような英語教師が陥りやすい危険な状況を,一番分からねばならないのは,現場の先生方であり,現場が苦しいから,どうにかしてそれから逃れたいと必死に競う英語教師たちの愚かな競争を止めさせるのも,わたし達,現場にいる教師であると思う。悩んでいる同僚に寄り添っていくのも,実際わたし達しか出来ない。


そして,影に徹して,目立たないけれども,奮闘しながら子供達に実際触れている先生方が一番尊く,偉いとわたしは信じているし,そういう人をこれからも賛嘆していきたい。


わたしが元気になれる斉藤先生のお話は,やっぱり優れている。慶應まで来て良かった。



先程も記したが,わたしが斉藤兆史先生に興味を持ったのは,NHKの講座ではなく,英語教育時評に載った文だった。


そのころは先生のお顔を存じ上げなかったので,

肉食男子系で地肌を晒した激しいRocker(ロックを演奏し,こよなく愛する人)のような方に違いないと,かってに想像していた。


お会いすると,とても穏やかで紳士で,普通の感じなのでビックリした。

しかし,お聞きしたところによると先生はドラマーで,しかもヘビーメタルがお好きだとおっしゃるではないか。


しかもVan Helenだ。


Van Helenは兄貴の影響でわたしも好きだったハードロックバンドだ。ただのロックでない。前にハードが付いている時点で,先生の内面の激しさを容易に推することができた。


全く存じ上げなかったのだが,先生は,現在イギリスの大学におられて,残念なことに日本にはいないらしい。

今回のシンポジウムは一時帰国の折に合流されたそうだ。来年には日本に戻ってくると言われていた。


先生の著書にサインを書いていただいた後,別の方が「○○Loveって書いてください!」って頼んでいたので,わたしも,「いーなぁ,いーなぁ,わたしもLoveって書いてください。」って言ったら,妻に怒られるから駄目だと言われた。(ちっ,ケチ!)


しかも,その後,この夏フランスに行く用事があるので,先生のところに行ってもいいですかぁ?とお聞きしたら,

「いいですよ。」とおっしゃったので,「本当に会いに行きますけどいいですか?」と再度念を押したら,言葉を濁された。くれぐれも,美女にはいい加減な返事はなされないように頼みますね,斉藤先生!


追加で:

先生が別れ際に,「明日はNHKとの~~が・・・」と言われて,2次会を断られていたのを思い出す。先生は何かをごまかすときに,語尾に力を入れない。何を言っているかを分からないようにされる。売れっ子の先生だから仕方がないですが,なんだが近寄りがたい感じがしました。(これは知識人として大事なスタンスだとは思いますが)今度はドラムを激しく叩く先生に会いたいです。(^O^)/