「小児愛者にイタズラされたんだぞ」と二年上の男子校の先輩に言われたのは、カブスカウトのキャンプから三年ほど経ってからだった。しかし、異常者の性欲の対象になってしまったという意識自体がなかったので、快感などはもちろんなかったし、逆に、悔しさも、怒りも何も感じなかった。

 

僕は初めて性を感じるようになったのは、実は風呂場の中でである。母親は病院の経営に忙しく、いつもお風呂は医院の住み込みの看護婦さんや、厨房のおばさんや女中さんだったゆきちゃんに入れて貰っていた。母親の弟が四十になって、初めて結婚した時のお嫁さんが22歳も年下で、同居していた叔父のもとに嫁入りをしたのはまだ十八の春だった。その若いおばさんは敏子さんと行った。嫁入り後は敏子さんにもお風呂に入れて貰らうようになった。このように日替わりで、複数の女性に僕はお風呂に入れて貰っていたのだ。小学校三年の頃まではこのような習慣が僕にとっては日常的なことであり、お風呂から上がったら、「どのテレビ番組を見ようかな」程度のことしか考えていなかった。