80. 分身達の輪 | 憂さ憂さうさぎ

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世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

告知の場所に行ってみる。

“ひまぐま”さんという方が、一人一人に丁寧な挨拶をしていた。

自分も挨拶・・・というか、チャットに不慣れな自分は、ひたすらお辞儀

をしていたが。

『まるで米つきバッタだな。』自分の分身ながら、情けない・・・といっても

その行動をさせているのは自分なのだが。


「風船を飛ばすと聞いて来てみた」 と分身に言わせる。

広場にある “赤い風船募金” の風船を、皆で輪になって飛ばすのだ

そうだ。

『そうか、この広場で売られている風船は、募金用の風船だったのか。』

一人納得。

しかし、“アメG” とかいうものを持っていな自分には、風船を購入する

事が出来ない。

恥ずかしながら、それを分身に言わせる。

「風船を持っていなくても、どうぞ一緒に参加してくださいね。」

よかった。自分はここにいても良いらしい。


切り株やベンチに分身を座らせ、ボーっと画面を眺めていた。

その場に集まる人達の年齢は様々だろう。

ピグの行動やチャットの内容から考えて、ここに集まってくる人達には、

他の場所でよく目にするような “悪意” が感じられなかった。

その場所に集まる目的から考えて、悪意を持った人間が来るとも

思えないが。

そんな画面の中、リアルの人間達に代わって動き回る沢山の分身達

を眺めていると、何故か“ほんわか”として心地よく思える。

『これは現実逃避か?』


告知の時間になった。何が始まるのかな。

見ていると、画面の中の小さな分身達は、人文字の方法で“輪”をつくり

はじめる。

一人一人が微調整しながら綺麗に円を描いていくのだ。

時には互いに場所を譲り合い、離れたところにポツンと立っている者には

「いっしょに輪にはいりませんか?」などと言葉をかけあいながら。

なんだかいい雰囲気だ。


自分もその輪の中にはまってみる。

結構分身の立ち位置の微調整は難しい。

必要以上にうろうろと彷徨っている自分に、近くにいたピグが 「OK」 を

出してくれた。

『ふぅ。』 やっとのことで落ち着く自分の分身。


さてこれから何が始まるのか。