家へ戻ってとりあえずテレビをつける。
テレビが見られるようになってから、頻繁に繰り返されるのは、福島の
原発の問題だ。
水素爆発、冷却機能喪失、原子炉格納容器の破損、爆発音、避難指示。
恐怖心を煽る言葉ばかりが流れてくる。
しまいには、原子炉の構造の説明を長々とし始めた。
原発による被害が自分自身に及ぶ心配をしている人間にとって、原発の
構造などはっきり言ってどうでもいいのだ。
要するに、どの範囲がどれだけの危険性を孕んでいるのかが知りたい。
構造を教えられても、だからどう解釈しろというのか。
恐怖心を散々煽られた揚句、どの程度危険なのかが知らされない。
まるで蛇の生殺しだ。
仕方ないので、インターネットでチェルノブイリの原発事故を調べてみた。
最悪の場合を想定しての事だ。
地図上に同心円の表示と色分けされた影響範囲が映し出される。
原発から仙台まではせいぜい80kmといったところか。
当てはめてみると、・・・ダメだな。
もし、チェルノブイリのような事故になった場合ここはだめだ。
ここから逃げるための交通手段も断たれている。
ガソリンも、少ししかない。ここから逃げる手段はない。
・・・もう諦めるしかない。
あと自分に出来るのは、風向きがずっと海へ向かって吹き続けるのを
祈る事だけだ。