42. 思い出の場所は | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

電気が復旧したおかげで、いろいろな情報が入るようになった。

テレビも見られるしパソコンでインターネットも見られる。

そこに映し出される映像は、どれも酷いもので。

東北地方を中心に太平洋沿岸はみな壊滅である。

自分は、今までの人生の約半分を仙台で過ごしてきた。

だから、それなりにいろいろな所にも行った。

いろいろな思い出も出来た。


友人と電車で松島へ行き、何処を見たら良いのかもわからずに、長い階段

を上って神社へ辿り着いた。そのまま階段の最上段に腰かけて松島の

景色をただボーっと眺めて帰った。


職場でいろいろあって自分が打ちのめされていた時、友人が松島の海岸
へ自分を連れて行った。堤防の上で、「大声で叫べ!」 って言われた。
躊躇している自分を見て、先に友人が大声で叫んでみせた。
何とさけんでいたかは忘れたけど。
その後自分も大声出した。濁点つきまくりの 「あーーーーーーー!」
あまりの声の大きさに、友人もちょっと驚いていたな。

季節はずれに七ヶ浜の海岸で、こっそり花火をしたことも。

勿論近所に迷惑がかからないように、手持ち花火だ。会話をするのも

こそこそと小さい声で。


夜友人とドライブで、仙台港へも行ったな。

ただボーっと真っ暗な海を眺めて帰った。落ちたら怖いなとか言いながら。


七ヶ浜では、波打ちぎわでお約束の遊びをした。

これが意外と楽しかったっけ。


他にも結構、海に行ってるんだな。


仙台空港のすぐ横で、飛行機の離着陸を日が暮れるまで眺めた。

車の中で、ケンタッキーのフライドチキンを食べながら。


三井アウトレットパーク仙台港にも数回行った。

一度来仙した母を連れて行った事も思い出される。


それらの場所はみな津波に襲われ、今は瓦礫で覆われているだろう。


この思い出のつまった場所に、自分は二度と行けない気がする。

本心から、行きたいと思える時は来るのだろうか。