26. 食生活は大事 | 憂さ憂さうさぎ

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世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

自分達が持っている食糧は少ない。

電気・ガス・水道全て止まっていて、カセットコンロはカセットが無かった。

そのため、米は少々あったが炊く事は出来ない。

調理というものが何も出来ない。

自分の持っている食糧の中で、そのまま食べられるものは、

・・・お菓子くらいか。

せめて、電気さえ使えれば、米は炊ける。

水は、飲み水としては使わないよう言われていた給水槽の水でも、

沸騰させれば大丈夫だろう。電気さえあれば・・・。

どう考えても、しばらくは避難所の炊き出しに頼るしかない。

とりあえず、少しは腹の足しになるであろう缶詰を探す事にする。

缶詰はぐちゃぐちゃの物置の中だ。

懐中電灯を片手に物置の引き戸をあける。

照らし出された光景にため息が出た。 『とにかく、缶詰を探そう』

前のめりに倒れ斜めになったままの、2m近い金属製ラック。

床の上で山積みになっているラックの上にあったはずの物。

ラックの下に上半身を突っ込み、その山の中から缶詰の発掘を始める。

『さんまの蒲焼』一つ、『シーチキン』数個、昔誰かからもらった『果物の

缶詰』数個、缶の緑茶一つ。他にはビール数本・・・これはだめだな。

地震の時に酔っ払っていて、逃げ遅れる訳にはいかないのだ。

なんとも頼りない。

普段は健康を考えて、食事は極力作っていたため、カップラーメン等

の即席〇〇的な物はなく、あるのはせいぜい袋ラーメン4食といった

ところだ。

『こうなってみると、普段即席の食品に頼らないというのも、少々考え

ものだな。これからは使おう。うん。』 一人納得。

発掘作業中、砂糖類を二袋見つけた。台所の棚には大きめのはちみつもある。

『万が一食糧が何も手に入らなくなったら、最終手段はこれだな。』

カロリーだけはとれそうな二つの袋を、しばし眺めた。