自分達が持っている食糧は少ない。
電気・ガス・水道全て止まっていて、カセットコンロはカセットが無かった。
そのため、米は少々あったが炊く事は出来ない。
調理というものが何も出来ない。
自分の持っている食糧の中で、そのまま食べられるものは、
・・・お菓子くらいか。
せめて、電気さえ使えれば、米は炊ける。
水は、飲み水としては使わないよう言われていた給水槽の水でも、
沸騰させれば大丈夫だろう。電気さえあれば・・・。
どう考えても、しばらくは避難所の炊き出しに頼るしかない。
とりあえず、少しは腹の足しになるであろう缶詰を探す事にする。
缶詰はぐちゃぐちゃの物置の中だ。
懐中電灯を片手に物置の引き戸をあける。
照らし出された光景にため息が出た。 『とにかく、缶詰を探そう』
前のめりに倒れ斜めになったままの、2m近い金属製ラック。
床の上で山積みになっているラックの上にあったはずの物。
ラックの下に上半身を突っ込み、その山の中から缶詰の発掘を始める。
『さんまの蒲焼』一つ、『シーチキン』数個、昔誰かからもらった『果物の
缶詰』数個、缶の緑茶一つ。他にはビール数本・・・これはだめだな。
地震の時に酔っ払っていて、逃げ遅れる訳にはいかないのだ。
なんとも頼りない。
普段は健康を考えて、食事は極力作っていたため、カップラーメン等
の即席〇〇的な物はなく、あるのはせいぜい袋ラーメン4食といった
ところだ。
『こうなってみると、普段即席の食品に頼らないというのも、少々考え
ものだな。これからは使おう。うん。』 一人納得。
発掘作業中、砂糖類を二袋見つけた。台所の棚には大きめのはちみつもある。
『万が一食糧が何も手に入らなくなったら、最終手段はこれだな。』
カロリーだけはとれそうな二つの袋を、しばし眺めた。