マーセラスはイーロン・テスラを救うことができるか?

今回の記事では、最近の私のお気に入りのニュースの1つを取り上げます。リチウムの重要な新資源が発見されました。その資源は米国にあり、リチウムを簡単に回収できます。問題は、この新しいリチウム資源が炭化水素エネルギーの生産と密接に関係していることです。

リチウムは、特にEV部門における脱炭素化の取り組みにとって極めて重要です。2030年までに炭酸リチウムの世界需要は240万トンを超え、2025年の需要予測である約120万トンの2倍に達する可能性があります。ブルームバーグNEFは、電気自動車のバッテリー需要の増加により、10年後には世界のリチウム需要がほぼ5倍に増加すると予測しています。

重要なのはわずか数年のうちにリチウム需要が500%増加するという予測されていることです。採掘には長期的なプロセスが必要であることは明らかなので、リチウム生産の急速な増加は不可能です。

そして、最近、以下のようなニュースが報じられました。「ピッツバーグ大学の研究者がペンシルバニア州でリチウムの宝庫を発見した。」

研究者らは、マーセラスのシェール層の天然ガス井の水圧破砕による廃水に、水中に浮遊するリチウムが相当量含まれていることを発見しました。研究者らは、ペンシルバニア州のマーセラス天然ガス生産における掘削作業だけで、米国で必要とされるリチウムの最大40%を供給できると見積もっています。シェール層と天然ガス生産はオハイオ州とウェストバージニア州にまで及んでいるため、リチウムがさらに見つかる可能性があります。

石油やガスの井戸の水圧破砕法では、横方向に掘削した井戸に水と砂のような物質を注入してシェール(頁岩:けつがん)を割って炭化水素を放出します。砂の粒子が亀裂を押し広げ、水が汲み出されて処理、再利用、または廃棄されます。マーセラスでの水圧破砕法では膨大な量の水が使用されるため、水圧破砕水から抽出できる可能性のあるリチウムの量は膨大です。

水圧破砕法で採取した水からリチウムを取り出すプロセスはまだ実証されていませんが、山の斜面から掘り出すよりも水から鉱物を抽出する方がはるかに簡単だと考えられます。

廃水からのリチウム生産は、マーセラスを拠点とする天然ガス生産者や中流企業にとって新たな収益源になりそうです。その中でも、私はAntero Resources (AR)Antero Midstream (AM)の経営陣のファンであり、第2四半期の決算シーズン中の彼らのコメントがたのしみです。