これまで以上に多くの投資家を引き付けるTSLA、SPAC、およびEVブーム

2020年のTesla(TSLA)を一見すれば、金融業界が電気自動車(EV)に多大な好意を寄せていることがわかります。

Tesla(TSLA)


ただ、EV市場にはTeslaしかないわけではありません。この分野には、魅惑的な会社が他にもあります。

そういった他の会社に投資するための優れた方法は、Special Purpose Acquisition Company(特別買収目的会社)、つまりSPACを使用することです。

では、SPACとは一体何でしょう?

簡単に言えば、SPACは、その会社のマネージャーが外に出て購入する会社を見つけるという考えのもとで公開されるペーパーカンパニーです。指定された期間(通常2年)以内に適切なターゲットが見つからない場合、投資家のお金は返還されます。

典型的なSPACの場合、IPOの際に「ユニット」をそれぞれ10ドルで販売します。このユニットには、普通株1株と、後に別の株を購入出来る保証が含まれており、通常、その権利行使価格は11.50ドルです。

SPACが2年の期限内に購入する事業を見つけた場合、株主は取引を承認する投票を行うことができます。彼らが「NO」と投票し株式の償還を決定した場合、10ドルの現金に加え利子が返金されます。

かつて株式市場でニッチな存在だったSPACは、現在、魅力的な企業への投資を行う人気の代替手段になっています。

SPACとの合併により、間もなく公開される電気自動車分野の2社を示します。

QuantumScape

最初の会社はQuantumScapeで、自動車メーカー大手のVolkswagen、シリコンバレーのKleiner Perkins、ビル・ゲイツ氏のBreakthroughEnergyVenturesが支援する、設立されたばかりのバッテリー会社です。

Volkswagenは最大の株主であり、同社に3億ドルを投資しています。

QuantumScapeは、電気自動車の走行距離をほぼ2倍にするという技術の商品化を目指しています。その技術によって、通常のリチウムイオン電池のエネルギー貯蔵量が大幅に改善されると同時に、より安全で安価な製品になると述べています。また、同社の固体電池は15分で容量の80%の充電が可能であるとのことです。

QuantumScapeのバッテリーセルは、ほとんどの従来のリチウムイオンバッテリーに見られる液体電解質ではなく、固体セラミック電解質を使用しています。このバッテリーには、グラファイトではなくリチウム金属アノードも含まれているため、より多くのエネルギーを蓄えることができます。

2010年にスタンフォード大学から独立したQuantumScapeは、Kensington Capital Acquisition Corp(KCAC)と合併し、33億ドルの価値があります。2028年までの目標は、年間91万台の車両用バッテリーを製造することです。これは、業界の専門家がソリッドステートリチウム金属電池が標準的なものになると予想している時期と一致しています。

Kensington Capital Acquisition Corp(KCAC)

同社によれば、このバッテリーは2024年までは市場に出回らないとのことです。

では、現在事業を展開している会社を見てみましょう。

ChargePoint

世界最大の電気自動車充電事業を展開しているChargePointは、別のSPACとの逆さ合併(合併の手法の一種で、事業規模が明らかに小さい会社を存続会社とする合併)を通じて株式を上場します。
 

現在ChargePointに投資している企業は、自動車大手のDaimlerBMW、エンジニアリング会社のSiemens、Teslaなどのテクノロジー企業に大規模な投資を行っている英国の投資信託Baillie Giffordなどです。

同社のCEO、Pasquale Romano氏はフィナンシャル・タイムズに次のように語りました。「私たちは息を呑むほど大きな市場の真っ只中にいます。」まさにその通りです。パンデミックが起こっているにもかかわらず、電気自動車の需要は世界中で高まっています。

ChargePointは2007年に設立され、10年前に最初の充電ステーションを設置して収益を上げている正当なビジネスです。現在までに、同社は小売業者、Target、Ikeaを含む4,000の企業と提携し、すでに米国とヨーロッパに100,000以上の充電ポイントを設置しており、他のプロバイダーとのローミング契約によってその他に130,000箇所が利用できます。それでも、特に今後15年以内に新しい内燃エンジンモデルの販売が段階的に廃止される先進国は、より多くのステーションを必要としています。

ChargePointは現在も事業拡大モードの状態で、2019年、同社は1億4700万ドルの収益に対して1億3300万ドルの純損失を発表しました。

ChargePointは、24億ドルの取引でSwitchback Energy Acquisition(SBE)と合併します。

Switchback Energy Acquisition(SBE)


QuantumScapeとChargePointは、電気自動車に向かう世界的な動きに投資する面白い方法ではないでしょうか。