【やあ、こんにちは。クラさんだよ】
毎度必死に文字数調整を図っています。
ようやく感想文も中盤。
しかしこの辺りから文字数がどんどん増える………。



《第7話》この辺りから毎話泣くハメになるとは思いませんでした。
依頼人は第一線で活躍中の戯曲家、オスカー。
新作の脚本の代筆依頼みたいですね。
でも何か様子がヘンです…。
えらく自堕落な生活を送っています。
以前のヴァイオレットならこの『困った御方』の為に身の回りの世話を焼くなんて絶対にしなかっただろうなあ。
しかも料理まで。そういえばあの団子式カルボナーラ、なんかわざわざ再現してた人おったなw
旨いのかな? 気になって仕方ないです。

オスカーの作り出す話にいつしか夢中になって、次の展開を聞き出そうとするヴァイオレット。彼女をそこまでに出来るってこの人の話はよほど優れているんでしょうね。
まあ、それだけ本作への思い入れが強い事をこの後に知らされるんですが。

偶然彼女が見つけた亡き娘の日傘を差すヴァイオレットに激昂するオスカー。
そりゃ思い出したくないものを嫌でも思い出しちゃうから…。
イルマの時と同じ、依頼人の心の真意を問い質すヴァイオレット。彼女が純粋で真っ直ぐな心の持ち主だからこそ、心の奥にしまっていた気持ちを伝える気になれるんだろうな。

記憶の中の亡き娘オリビア。歯が生え変わる途中なのがとても生々しくてとても残酷な表現だなと思う。

「私が湖を歩くところ、“いつかきっと”見せてあげるね、お父さん」

ヴァイオレットが大切な人を喪う寂しさ、辛さを亡きオリビアに教わり、そして涙を流す。
あの戦闘人形が、人の心を取り戻していく過程がここにもありました。
ヴァイオレットにもらい泣きです…。

亡き娘に捧げる為の物語。だから最後は親の元へ必ず帰らなくてはならない…クライマックスシーンのアイデアが欲しくて、冗談で湖に浮かぶ木の葉の上を歩いて、とお願いするオスカー。
あなたがそれを願った相手は尋常ではない身体能力の持ち主なのですよ。

”いつかきっと”見せてあげるね

永遠に叶わないと思っていた娘との約束をヴァイオレットが代わりに見せてくれました。
これからも何千回と「お父さん」と呼んで欲しかったのに…。
もう涙で画面が見えません………。

オリビアの形見の傘を譲り受けるヴァイオレット。
この傘は今後必ず彼女の手荷物に加えられます。
「君は死んだ娘の“いつかきっと“を叶えてくれた。」

でもここでめでたしめでたしにならないのがこの作品の凄さであり、恐ろしさでもあります。

ヴァイオレットは”いつかきっと”がオリビアだけじゃなく、全ての人にある事に気付く訳ですね。
そして多くの兵士達の“いつかきっと”を自ら奪ってきた事に。
あまりにスムーズな伏線回収にため息が出ます。

今、ヴァイオレットの身体は燃えている…自分のしてきた事でどんどん火がついて燃え上がっている。
社長は彼女が感情を取り戻す過程でこうなる事を見抜いていた。
そしてそれは自分で乗り越えなければいけない事も。

しかも偶然再会したエヴァーガーデン夫人が彼女にとどめを刺す一言を伝えてしまうとかね。
いつかはバレる嘘。
カトレアさんの心配が的中してしまいました。

最後に出てきたサブタイトル……なんてこった。
こんなのアリかよ。見た事ないぞ、こんなの。
最初からサブタイトル無しとか、無題、とかはままある表現だと思うけど、

「                       」

って。まさにヴァイオレットの心情そのものじゃないか。



《第8話》真実を知ってしまったヴァイオレットの過去の話が本格的に語られます。ディートフリートに拾われ、ギルベルトに押し付け、それでもギルベルトは彼女を何とか『人間』として育てようと努力した結果、文字通り一騎当千の少女兵が出来上がってしまう。
何て皮肉なんだろうか。

「機動戦士ガンダム」において、シャア・アズナブルが自身の味方であり、親友であり、そして親の仇であるザビ家のガルマに対して「君の生まれの不幸を呪うがいい」と言葉を浴びせるシーンがありますが、ギルベルトは祖国ライデンシャフトリヒの英雄の血族であり、且つ次男でありながら跡継ぎでもあったんですよね。

自分の命令しか聞かず、『武器』と呼ばれる心持たぬ少女を自分のそばに置いておくには彼女を自分の部下として、そして『武器』として連れて行かざるを得なかった。
ここで当初の疑問であった『ボサボサの髪』の理由を知る事が出来ました。

「ヴァイオレット」というギルベルトの願いと想いを込めた名を授かり、初めて彼女は言葉を発する。
アニメ版では自身に与えられた名前「ヴァイオレット」と。
これ原作は「しょうさ」なんですよね。
「しょうさ」にまつわるエピソードが多くてとても感動的でした。


そしてギルベルトの『形見』となってしまったブローチ。
与えるキッカケも選んだ理由もとても切ない。
これまた原作読んでより理解が深まったのですが、
自分が預かり『人間』として育てていたはずが、まだ年端も行かぬ少女は戦場で受けた傷にまみれていた。

さらにブローチを選んだ彼女を見て、自分は『人間』に必要な事を色々と教えていたはずなのに『美しい』という言葉さえ彼女に教えていなかった。戦うすべばかり教えていたと。

何故自分の瞳と同じ色のを選ばなくて良かったのかと、彼女に聞くギルベルト。

「いいえ、これが一番『美しい』でした。』
「少佐の瞳は出会った時から『美しい』です」

この時のギルベルトの涙。
残酷なぐらいに彼を後悔させたんだと思う。
彼女への感情の正体に気付いた事、そしてこの後彼女の身に起きる悲劇がのちの劇場版への行為に繋がる決意になったのだろう。

それにしてもなんて悲しすぎる2人の結び付きなんだろうか…。
例えこうするしか無かったとしても。

そして最終決戦となるインテンス戦へ。
仲間も多数倒れて行く中、何とか照明弾を打ち上げて作戦を成功させます。
そんな彼の姿を見つめるヴァイオレット。
その刹那、ヴァイオレットが愛して止まなかった彼の『美しい』右眼が銃撃により射貫かれて9話へ続きます…。



《第9話》狙撃された彼を守る為にヴァイオレットが応戦しつつも右腕、そして左腕を立て続けに失います。特に左腕を失うシーン、その表現が、音が、あまりに生々しくて衝撃的でした。
普通の人間なら確実にショックで気を失い失血死してるであろう状況でも必死にギルベルトを守ろうとする姿。
右腕がダメなら左腕で。左腕がダメなら口で。
「絶対、絶対少佐を死なせません!!」
私は道具だから、少佐を守る道具だから。

負傷し身動きが取れないギルベルトはあまりにも悲痛な彼女の姿に涙を流す事しか出来ません。
自分のせいで、全身の傷どころか両腕さえ失ってしまった…。
彼女を戦場へ連れ出してしまったばかりに。
まだ彼女は年相応の生き方すら出来ていないのに。

そして必死にギルベルトを助けようとしている少女を制します。
「もう止めてくれ!」
「生きるんだ。ヴァイオレット、君は生きて自由になりなさい」

「…心から、愛してる」
「あ…い、ってなんですか ? わか…りません」

こんな悲しい告白ってあるんですね。
ギルベルトは『愛』を教えてやる事も出来なかった。
本能で涙を流すヴァイオレット、でもその感情が何かすら彼女は知らない。
そして爆風が2人を包みます…。


最後の戦場、インテンスで少佐の欠片を探すヴァイオレット。もう義手もボロボロに傷んでいます。
そこへ連れ戻しにやってきたホッジンズ。
無理やりインテンスから連れ戻された後のヴァイオレットちゃんは見てられないぐらい悲痛でした。
“自分の身体が燃えている”状況でさらに最愛の人を喪うとか…。
彼女は部屋に閉じ籠もります。

特にショックを受けたのが彼女が自死を選ぼうとしたシーン。
実はあのシーンが今回の感想を書こうと思ったキッカケでもありました。自身が不要なら『処分』されることを願った事はありましたが…。
あの彼女が『感情』をむき出しにして大声で叫び、荒れる。
机の上に居場所を与えられた子犬のぬいぐるみ。

特に欲しくもなく無理やり与えられたこの子犬を床に叩きつける事が出来なかった。
人間の急所はしかと心得ているはずなのに自分の頸動脈を止める事も出来なかった。

少佐のいない世界には自分の居場所なんて無かったはずなのに、それでも彼女は生きる事を選んだ。選ばざるを得なかったのかも知れない。
彼の最後の『命令』は「生きて自由になりなさい」だったしね。


そこに現れる俺たちのローランドさん。
彼もオリジナルキャラと知ってビックリ。この人が出てくるとめちゃくちゃいい仕事をする。そこにシビれる憧れる。

アイリスとエリカが綴った手紙を彼女に届けてくれた。
まだローランドさんは捨てられていた手紙の配達途中でカバンには手紙がぎっしり。
ヴァイオレットちゃんは彼の手伝いをすることに。
本当にたくさんの手紙が入っています。

「どれ1つとったって誰かの大切な想いだからな。」
「届かなくていい手紙なんてないんだ」

ヴァイオレットにとってこの先も自動手記人形を続ける指針になったんじゃないかな、この言葉は。
だから幾度となく彼女もこの言葉を口にする。

そしてアイリスとエリカがヴァイオレットに宛てた手紙。
彼女が初めて自分に貰った手紙。
他人から手紙を貰える喜びと少佐以外に自分の居場所がある事に気付けたんだろうね。

アムロ•レイの言葉を借りるなら
「ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない。」
いや、個人的に大好きなシーンなだけです。

ルクリアの兄、スペンサーからの依頼で自分が少佐以外に必要とされている事にも気付けた。
翌日ずっとヴァイオレットの目は腫れたまま。
ホントにこういう細かい演出が多いし、一切手を抜かないんだよね、京アニって。

しかもスペンサーの家から郵便社に戻るまでに、これまでのヴァイオレットの実績、功績をサラッと見せる演出。
シャルロッテによって築かれた孤児院。(これも後の伏線という)
立ち直ったオスカーによる戯曲のポスター、きっとあの話ですね。
そしてお店の前に咲くヴァイオレットの花…。

いつの間にかギルベルトの願い通り「その名にふさわしい」「その名が似合う」女性に成長していたのだと。
次に踏み出した一歩で彼女は立ち直ったと教えてくれるんですよね。
神演出のバーゲンセールです。

で、何が凄いかというとこれらの事を見越した上で「身体に火がついている」と示唆し、彼女ならそれを乗り越える力を持っていると見抜いていたホッジンズ社長の慧眼。
でも、本心ではやっぱり心配で心配でならなかったんだね。
ヴァイオレットの「生きていて…いいのでしょうか」の問いに肩を震わせる。
いや、こんなん泣くしかないやん。こっちも肩震わせるわ。

もう一度、彼女が手紙を綴ってきた人達の姿と共に
「してきた事は消せない。でも…でも、君が自動手記人形としてやってきた事も消えないんだよ」

「ヴァイオレット•エヴァーガーデン」

………サブタイトルがこれ…最後の最後まで神演出ですか。
涙って枯れないんだね。いくらでも出てくるよ。
でも…頭痛が起きるんだね。

そんでこの回と劇場版を複数回観ると、タイトルの

ヴァイオレット•エヴァーガーデン

だけで泣けるようになれました。
人生でなんの役に立つかは知りませんが、そのように訓練されてしまいました。アタシはパブロフの犬ならぬヴァイオレットの犬でございます。



【犬がなんか言う】
遂に次は10話です。
もっともっと長くなりそうだ……。
嗚呼、また文字数調整か。