【アタシは文字数調整の鬼と化した】
また必死に微調整しています。
何とか上手に繋げたいのです。



《第10話》遂に来てしまった。
神回中の神回。最早100%の100%と同じ強さです。(意味不明)
どうやらこの作品は神回もバーゲンセールを行っているようです。

大好きな「魔女見習いをさがして」は開始5分(正しくは4分25秒かな)で泣けるとファンの間で評判になりました。
ここね。


なんせあの名曲をあのアレンジで聴けちゃうんですから。

劇場版ヴァイオレット•エヴァーガーデンも負けずと開始1分で泣けると話題に。
それがこの10話と直接繋がっているからですね。
嗚呼、神様。許されるなら記憶をリセットして10話を観てから劇場版を観たかった。

7歳の少女、アン•マグノリアの物語。
こればっかりは語るんじゃなく直接観て頂きたいのですが、そうなると本末転倒、本項の存在意義に関わるのでとても悩ましいです。でも10話だけは頭真っさらにして観て欲しいなあと。

多分アタシが語らなくとも本作を代表する屈指のエピソードであり、原作でも第1話に掲載されたほどの物語です。

あ、焦れったいですね。
行きましょか。


今回の出張代筆の依頼人はクラーラ•マグノリアという女性。
7歳になる娘がいるが、夫は先の大戦で戦死。
そして病によってどうやら先が短い模様。

家は資産家とか貴族の出ですかね。遺産相続の話を親戚としていた感じです。
アンの言葉遣いもそうですし、お客さんに対しての挨拶などもしっかり教育されています。

娘、アンの視点で語られますが、家にやってきたヴァイオレットを本物の人形だとずっと勘違いしています。
「お人形が歩いてきたの」

そりゃあ、身なりは美しいし所作も美しい。さらに機械のような言葉遣い。子供にとっては『お人形さん』に見えても不思議じゃないんだろう。
「(お人形が)喋った!」って驚いてるし。

ヴァイオレットの一挙手一投足にアンが反応を示すのがとても可愛い。

「飲んだ紅茶どうなるの?」
「いずれ体内から排出され、大地に還りますが」

もう、このやり取りだけで胸がキュンキュンします。


1週間もかけて代筆するって何だろうね。(劇場版観たので答えは知ってはいますが)
”とっても遠くへ居る人”への手紙。
でも娘には絶対に教えない。
これ、本放送の時の感覚どうだったんだろうか。

もう長くないと分かっている母との時間は誰にも奪われたくないと願う子。その貴重な時間を割いてでも残したい手紙。

時折、発作で苦しむ大好きな母の姿に居ても立っても居られなくなって手紙を書く作業の邪魔をしてしまう事も。
クラーラの身体の具合を見ながらの作業なので、休み休みで進めざるを得ません。

彼女が身体を休めている間、大好きな母を困らせたくない一心で仕方なく『お人形さん』の相手を“してあげる”アン。
「担当外の作業です」と断りつつもアンの相手をしてあげる辺りにヴァイオレットの優しさが見えますね。
オスカーの時もそうでしたけど。
ついでに言えばヴァイオレットちゃんはとても押しに弱いそうで、完璧とも思える彼女にも弱点があるのだなあとw
一定期間彼女と居るとそれに気付けるようです。
まあ、アンはそんな事分からないだろうけど。

言葉では嫌がりつつも、本当はヴァイオレットに興味津々なアンもやっぱり可愛いです。

特にパンのなぞなぞのやり取りが大好きで大好きです。

「パンはパンでも凄く固くて食べられないパンってな〜んだ?」
(背中にフライパンを隠しながら)

「スープに入れれば柔らかくなります」

7日間の間に気付けばずっとヴァイオレットを遊び相手として気に入ってしまってるんですよね。本当はお母さんとやりたい事を全部ヴァイオレットが担う事に。
ああ、切ない。

命を削るように手紙を書き続ける母の姿を見て、遂にアンの悲しみが爆発します。

「私知ってる!! お母さんは…」
「お母さんが居なくなったら私一人よ!! 私はいつまでお母さんと一緒に居られるの?!」

「これからずっと1人なら、手紙なんて書かないで今私と一緒に居て!」
「私と居てよ!」

「お母さん!!」

サンルームに響く悲痛な叫び…いや、絶叫ですね。
すでに母の運命を受け入れ、それでもなお1秒でも長く最愛の母と一緒に居たいと願う娘の姿にクラーラも涙を隠せません…。
(アタシも涙を隠せません)

悲しみを堪えきれず家から飛び出すアン。

夕日に照らされながら交わされるアンとヴァイオレットの会話。陽の光のように暖かくそして切ない。
「お嬢様の時間、私が消費している事には意味があります」
「その小さな身体ですでにお母様のご病気を受け止めていらっしゃる。あなたはとても立派です」

「立派じゃない!」
「私、お母さんを泣かせちゃったぁぁぁ!」

また悲痛な叫び。
アンは自分のワガママで大好きな母を泣かせてしまった事を悔いていました。

アンの悲しみを少しでも受け止めようとするヴァイオレット。
これ、幾度か見直して気付いたんですが、ヴァイオレットちゃんも必死に涙を堪えていたんですね。
「私の腕があなたの腕のように…柔らかい肌にはならないのと同じぐらい………どうしようもないことなのです。」


「……どうして手紙を書くの?」
「人には届けたい想いがあるのです。」

「そんなの…届かなくていい…」
「届かなくていい手紙なんて、ないのですよ…お嬢様。」

この10話はストーリーも素晴らしいのですが、マグノリア母娘を演じる声優さんの演技が本当に素晴らしいです。
特にアン役の諸星すみれさん。子役時代から声優もされています(「シュガー・ラッシュのヴァネロペ役がめちゃくちゃ印象に残っています)が、等身大のような子供の演技でアンが生き生きしていました。
そしてこのシーンの演技、彼女を称える言葉が出て来ないのです。
素晴らしい、凄い、それらを遥かに超越した演技でした。

クラーラ役は90年代の作品で数々の主演をされてきた川澄綾子さん。どの作品を観てもヒロインといえば彼女、だった時代が確かにあったんですが、いつしか娘を優しく包む母親の演技をこんなに見事に演じられていました。
この10話では諸星さんの素晴らしい演技に引っ張られたと仰っていましたね。
→ 



ちと逸れました(もうお約束だとお分かりいただけたであろうか)
そんな2人の名演技もそろそろ終わりに近付きます。

手紙はようやく完成して、マグノリア家を去るヴァイオレット 。アンは心からヴァイオレットの事が好きになったんでしょうね。お別れのキスを彼女の頬に。
するとヴァイオレットは『お人形』でなかった事にようやく気付きます。(このほっぺプニプニは永久保存版にしたい)
ヴァイオレットも彼女の夢を壊さないようにずっと否定してなかったんですよね。
そしてヴァイオレットを見送るアン。
「あの人の書いた手紙読んでみたかったなあ〜」
皮肉にもその願いは叶えられるのですが…。


本話はここからがある意味本番でした。
残された母との時間はあっという間に過ぎてしまいます。
最愛の母が逝った後に迎える8歳の誕生日にそれは届きます。

「アン、8歳の誕生日おめでとう」
「アン、10歳の誕生日おめでとう」
「18歳の誕生日、おめでとう。もう立派なレディね」
「誕生日おめでとう、アン。20年も生きたのね、凄いわ!」

最愛の母が命を削って、自分との貴重な時間を消費して残してくれたもの。
それは娘の誕生日に50年かけて毎年届く母からの手紙。
アンはずっと母に見守られながら誕生日を迎える事が出来る。
BGMで流れる「みちしるべ」が切なさに拍車をかける。
観てるこっちはもう涙やら鼻水やらで大変な事になっているとは知らずに。

しかし、ここで終わらないのが京アニの恐ろしい所。
出張代筆が終わり、郵便社へ戻ったヴァイオレット。
手紙が届く頃にはもうクラーラはこの世に居ないと分かっているヴァイオレットはずっとずっと堪えてきた涙を流します。
アンのおかれた境遇を慮って流す大粒の涙を見て、カトレアさんが優しく語りかけます。

「愛する人は、ずっと見守っている」と。


……嗚呼ああああああ〜なんじゃあこりゃあ〜!。(ジーパン刑事)
何回泣かせたら気が済むんだよ。
もうずっと、ずっとだ。こちとらずーっと泣いてんだよ。

ご存知の方も多いと思うのですが、Youtubeに大変興味深い動画があります。海外のアニメファンのリアクションが観られる動画ですね。
リアルタイムでアニメを共有しながらみんなで観てるのを観る、というアレなんです。

で、このヴァイオレット•エヴァーガーデンもそういう動画がいくつか上がってます。本編は画面を見えなく処理してるんですけど薄〜く音声が聴こえるのでどのシーンかは把握出来るんですね。
この10話の動画も当然あるんですが、国や言葉が違ってもやっぱり大きく反応する所は変わらないんですね。
特にヴァイオレットが代筆した手紙の正体が分かった瞬間のリアクションが好きなんです。
まさに「Oh My God!!」なんですよね。一見怖そうなお兄さんもボロボロ泣いてたり、通称「パンダネキ」と呼ばれているお姉さん(このヴァイオレットリアクション動画の多くに登場し、かなりの日本アニメ通と見られる。「みちしるべ」を日本語で歌えるぐらい本作を愛されている模様)のリアクションがとても愛おしくなります。
『親子の愛」というか「愛」そのものに国境なんて無いというのがよく分かります。


Wao! Happy Birthday!/



《第11話》多分10話と同じぐらいに好きなお話です。
まあ、とてもとても悲しいお話ではあるのですが…。
9話でひっそり張られていた伏線がここで回収されます。
『北側』で不穏な動きがあったのが、いよいよ本格的になってきたんですね。
その最前線ともいうべき場所からの依頼。
クトリガル国メナス基地。

これ、アニメと原作で全然アプローチが違うんですね。
アニメ版はウチの“ドール”をそんな危険な場所に行かせたくない。原作は何処でも駆けつけますって事で戦場でも行かせちゃう(当然戦場での立ち回りが可能な人物を派遣し、武装させた上で場合によっては発砲もやむを得ないと指示した上で)。

戦場でも『伝えたい想い』があると知ったヴァイオレットちゃんがこっそり出かけちゃうという。
10話の悲しくも優しい物語の後は少しずつきな臭くなってきます。そのままラストまで駆け抜ける訳ですから。

毎回出張時に馬車の後ろにちょこんと腰掛けるヴァイオレットちゃんかわいいw
でも行き先は戦場なんですよね…。

依頼人のエイダンは若き兵士。状況的に志願兵では無さそうです。過激派を食い止める為に出撃するのですが…。
相手が1枚も2枚も上手でした。あっという間に自身の部隊がエイダンを残して全滅。いや、正しくは途中まではエールという友人も存命でした。命をもて遊ぶように銃撃するガルダリク軍の残党にとどめを刺されるまでは。
このエール君、原作ではなんと若干10歳。そりゃあ「置いていかないで」って言いますよね。
もちろん、エイダンはそれを見捨てる薄情な人では無かったのですが、瞬く間に自身が狙われる番に。

「死にたくない」

彼の悲痛な叫び。これも原作はもっと悲痛に描かれていました。
いや、ホントにショッキングでした。
でも地形を完全に把握している相手にはただの的でしかなく…。

ヴァイオレットちゃんが現場上空に着いた時点ですでにメナス基地は乗っ取られていましたが、ここまで飛行機で連れてきてくれた郵便社のヴァンダルさんを振り切ってパラシュートで戦場の真っ只中に落下します。
ヴァンダルさんは知る由もないですが、その少女は「ライデンシャフトリヒの戦闘人形」と呼ばれた人です。

エイダンにとどめを刺そうとした瞬間、彼女が天から降ってきました。4人の兵に狙われても一瞬で3人を無力化。以前のヴァイオレットなら全員有無を言わさずあの世に葬られていたんでしょうが…。
敵兵に自分を知る人物がおり、当然敵わないと知って退散します。


エイダンを連れて山小屋に避難して翌日の助けを待つのですが、彼は自分の死期を悟り依頼通り手紙を書き始めます。
ヴァイオレットも飛行機に荷物置いてきたんでしょうね。
まさかの空打ちで手紙を書きます。指に覚えさせて後日にそれを再現させる、普通に考えたら無茶苦茶な行為なんですけど、それを本当にやってみせる能力があるんですよね。
1度しか顔を合わせて会話をしていないのに実は言葉も話せない時に1度会っているとホッジンズの事を覚えていたり、過去の依頼人の住所や名前を覚えている人なので記憶力が異常に優れているのかな。

少しずつ衰弱していくエイダン。
多分戦場で育ったヴァイオレットちゃんは彼がどうなるのか分かった上で何とかしようと必死だったんだろう。

「もし2人が生まれ変わって…また夫婦になるなら、また俺を産んで欲しい、お願いだよ」
「もっと幸せになって…その姿を2人に見せるはず…だったんだよ」
「また俺を息子にしてよ、お願いだよ…」

……この手のセリフはアカン。
悲しすぎる。辛すぎる。

ヴァイオレットちゃん…涙目だ。
彼女もずっと堪えてるんだよね。ゴメン、こっちは堪えられないや…。

咳に血が混じり始めました…。

そして、エイダンを好きだと言った幼馴染のマリアの為に手紙に取り掛かるも彼の命は風前の灯。
「マリア…帰りたい、君のところに…」
「死にたくないよ…帰りたい、君のところに…」

手紙を彼女に託し彼は言います。
「ヴァイオレット…助けてくれて…ありがとう…俺………1人じゃないよ…」
この言葉がヴァイオレットに一層悲しみを与えます。
「ここに居ます。お側におります。」
「お願い…俺に触れて…」
両手で、彼女の冷たい義手で彼の手を優しく温めます。

薄れ行く意識の中で彼が遺した言葉。
「マリア……○○○○」
この言葉はミュートされており、何と言ったのかはそこにいたヴァイオレットしか知り得ません。
言葉を聞いたヴァイオレットの動揺と、彼の唇の動きを見るとやはり
「愛してる」なのかなと。

幼馴染とキスさえ出来なかったエイダンの為に、彼が天に召される直前に、彼の最期の望みを叶えます。
ヴァイオレットちゃん、最早慈母神です。
「ありがとう………」

1つの若い命が喪われていくこのシーンでしたが、昔のヴァイオレットなら見慣れた…いや、気にも留めなかったよくある光景に過ぎなかったはず。
でも今は彼の失われた‘いつかきっと”にも想いを馳せられる程に成長しています。
だからこそ『死』を、『命の重さ』を理解した上で、彼に慈しみを与えながら寄り添えたんでしょうね。
多分、『人の死』に初めてちゃんと向き合った瞬間だったのかも知れません。

「もう……大丈夫ですよ、旦那様……手紙は必ずお届け致します。」


亡くなってしまった若き依頼人を埋葬した彼女はライデンへ帰る前に寄り道を希望します。
寄り道というか、自分が責任を持って彼の最期を伝えたかったんでしょう。
まずはご両親に彼の最後の手紙を。
そして幼馴染のマリアに手紙と遺品となってしまった血染めのハンカチを。
マリアは全てを悟り、泣き崩れます。

悲しい…ただただ悲しい。
最愛の息子を、最愛の人を喪ってしまった3人の姿は悲痛としか言いようがありません。
3人にかける言葉など誰も持ち合わせて無いでしょう。
そっとフィールド家を後にしようとした次の瞬間…

「ありがとう」
ヴァイオレットに駆け寄り彼女を抱きしめるエイダンの母。

「息子を帰してくれて…ありがとう」

本当はとても辛いはずの人達に「ありがとう」とお礼を言われるヴァイオレット。
「ありがとう」は感謝の言葉で、こんな悲しい「ありがとう」なんて………。
礼を言われる筋合いなんてないはずなのに彼の手紙を届け、看取ってくれた事に感謝されます。

「いいえ…いいえ…」とずっと堪えてきた大粒の涙を浮かべ否定し続けるヴァイオレット。

「守ってあげられなくてごめんなさい」
「死なせてしまってごめんなさい」

「………ごめんなさい」

人の死がこんなに悲しいなんて。人の死がこんなに辛いなんて。
ライデンシャフトリヒの戦闘人形が人の死を悲しみ、泣いている。
彼女はもう『武器』でも『人形』でも無い。1人の『人間』としてそこに立っていたと思います。

「もう誰も死なせたくない」


TV版で一番好きなサブタイトルです。
ありがちな話として、何かの作品で不殺を心掛けるキャラクターがよくこのセリフを言いますが、
彼女が口にした(実際は喋ってませんが)この言葉の意味を知ると、その説得力が圧倒的に増します。
無表情で、無感情で、まるでボロ布を扱うかのように多くの人を殺めてきた彼女。
躊躇いなど一切なく、自分が奪った命に一切興味も持たなかった彼女。

その彼女が大切な人を亡くし、いつしか世界を巡り、様々な人に出会い、様々な人の想いを手紙にしたためてきた。
だからこそ分かった命の重さ。ようやく分かった命の重さ。
その彼女の決意が「もう誰も死なせたくない」でした。

10話とは種類の違う涙をたくさん流す事になったのでした…。



【次回、感動(大袈裟にも程がある)の最終章】
本当によくぞここまでお付き合い頂けて嬉しいです。
あとちょっと、もうちょっとで終わります。
どうぞ最後までお付き合い下さいね。

[2/17更新 リンクがちゃんと貼れてなかったので修正しました]