こんにちは。
広島でインクルーシブ教育と発達障害への正しい認識普及活動をしている
NPO日本インクルーシブ教育研究所の中谷美佐子です。
長い夏休みも終わって、既に学校が始まっているところもあります。
夏休み中はずっと子どもと一緒にいるのでイライラしてしまって
つい不用意なことを子どもに言ってしまった方も多いのではないでしょうか?
私も子育て中ですから、仕事などで疲れていると
夕食の準備等している時は特にイライラしてきやすいため、
心ない言葉を息子に何気に言ってしまっていることがあります。
すぐに「はっ」と気づくのですが、時すでに遅し、
息子が寂しそうな顔をして私の方を見ています。
私は慌てて息子に謝るわけですが、
この時、子どもの方がずっと大人だということに気づきます。
簡単に母親の過ちを許してくれて、
「いいよ~。僕の方こそごめんね。ママ急いでたのに
いろいろお願い事をして・・・」等と言ってくれるわけです。
こんな言葉をかけられると胸がしめつけられる思いになります。
子どもは『許しの天才』ですが、
それに甘えてはならないと思う今日今頃です。
さて、子どもを怒って何とかさせようとつい躍起になってしまう大人達が多いものですが
(私も応用行動分析を知らなかったら、確実にそうなっていると思いますが)
それは子どもの脳のことや、人の行動理論を知らないから
怒って、叱って子どもに言うことを聞かせるやり方をついやってしまうのですね。
知らないということは罪作りだと思います。
だから知っている人達は、知らない人達に伝えていく使命があると思うのです。
あるお母さんがこんなことをおっしゃっていました。
「私は子どもに虐待はしないけれど、言葉の暴力はスゴイですよ~」と。
それも笑いながら、私に話しておられました
子どもに身体的な暴力はしていないけれど
言葉で精神的に痛めつけているという意味ですね。
これは身体は痛めつけていないから大丈夫だと思っていらっしゃって、
言葉で心(脳)が傷つけられる危険性をご存知なかったのだと思います。
しかし、脳科学が明らかにしていることがたくさんありまして…
身体的な暴力よりも、言葉の暴力の方が
子どもの脳を傷つけるということを、皆さんはご存知でしょうか?
先日、私が読み終えた「子どもの脳を傷つける親たち」という本には
ある調査について、こう書いてありました。
「身体的マルトリートメントやネグレクトを受けた人よりも
親のDVを目撃し、かつ、自分もこころない言葉で罵られるなどの
マルトリートメントを受けた人のほうが、トラウマ状態が深刻だった」
※マルトリートメント
虐待という言葉がもつ響きは強烈で、ときにその本質を見失うおそれがあるため、
友田明美先生達の研究では強者である大人から弱者である子どもへの
不適切なかかわり方を「虐待」とは呼ばずに「マルトリートメント(maltreatment)」と
呼んでいるそうです。
その本がこちらです↓
※本の表紙をクリックすると詳細を見ることができます
タイトルが「親たち」となっていますが「大人たち」という意味です。
更には「五歳ごろまでに何らかのマルトリートメントを継続して受け続けると
76%もの人が愛着障害を起こす」と指摘してあります。
そして、現代では、愛着障害と診断されないまでも
マルトリートメントが原因で愛着の形成に何らかの問題が生じ、
その後の対人関係や社会生活に大きな影響を与えるケースも
増加していると書かれてあります。
子どもの脳と私達大人の子どもへの関わり方について詳しく知りたい方は
ぜひ、こちらの「子どもの脳を傷つける親たち」を読んでみてください。
私には関係ないと思っていても、
気づかぬうちに私達は子ども達にマルトリートメントをしていることが多いものです。
多くの方に読んで欲しい一冊です。
さて、発達障害について正しく理解していないと
マルトリートメントをしてしまう可能性は大です。
それは発達障害のある子ども達は障害があるようには見えなく
一見普通に何でもできるように見えてしまうため、
つい私達大人は「なんでこんなこともできんのん?(広島弁)」
「怠けてないで、さっさとやりなさい」
「この子ちょっとおかしいわ」など
たくさんの否定的な言葉を何気にかけていることが多いのです。
私達大人が子どもの背景が見えず、
子どもの行動理由が分からないままでいると
子ども達の障害特性を叱り続けて育てる(関わる)ことになってしまいます。
その結果、思春期前あたりから子どもに不具合が出てきて
児童精神科などへ行き、発達障害だと分かることが多いのですが…
それでは遅いのです。
もともと持っていなかった障害が環境によってつくられてしまって
子ども達が二次障害となってしまっているのです。
二次障害となってしまった子ども達をサポートして
子ども達が回復するまでにはかなりの時間がかかりますから、
どうか子ども達が小さいうちから正しく理解してサポートして欲しいと思います。
幼少期から周りの理解を得て、適切なサポートを受けて育った子ども達は
得意を活かして社会貢献できる大人へと必ず成長することができるのです。
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