去年、私が出会ったAくん(小学6年生)の話です。
運動会の日、Aくんは熱が出て学校へ行くことができませんでした。
お母さんは「Aくんは一所懸命、運動会の練習をしてきたのに
運動会に出られないなんてかわいそう」といって涙ぐみました。
一方、Aくんにそっと聞いてみると、、、
「ぼくは運動会なんて、なくなればいいのにって思っているんだ。
練習だって、ちっとも楽しくないし、
運動会の練習って、将来、何かの役に立つの?
太陽が照りつける中、眩しくって目をつむっていたいけれど、
みんなについていけない僕は先生に怒られてばっかりだし、、、
集団演技なんて、いつ怒られるか分からないから
ずっと、ドキドキ、びくびくしているし、、、
疲れてどうしようもないんだよ。
いっそのこと、運動会の日には熱でも出ればいいって思っていたら
本当に熱が出ちゃったんだ!
あ~よかった!
これで学校へ行かなくて済むって本当にうれしかったんだ。
でもね、お母さんも学校の先生達も
僕が運動会に出られないことを
悲しんでいるんだな~。
僕の気持ちを分かってくれる人なんて
どこにもいやしないから、
もう、あきらめていて、
みんなに合わせているけれど、、、
とにかく毎日がしんどい!
「うん、うん、そうよね~」と答える私に向って、
Aくんは「おばちゃん、なんで、僕の気持ち、分かってくれるの?」
と聞きました。
私は「それは、みんな違うということを知っているからだよ」とだけ
答えたのですが、Aくんのうれしそうな顔は今でも忘れることができません。
親の悲しみが、決して子どもの悲しみではないのですね。
親は子どもがみんなと同じことができると安心できるかもしれませんが、
ひとり一人、子どもの発達や気持ちは違いますから、
どうか、子ども達ひとり一人の発達や身体感覚、気持ちに
寄り添ってやって頂けると助かります。
中途半端な知識は、発達障害のある子どもを傷つけてしまいますから
皆さま、発達障害については、しっかり勉強していきましょう
人はみんな物事の受けとめ方や捉え方、
そして、「感じ方」が大いに違うのです。