【ニューヨーク=共同】
米映画監督スティーブン・スピルバーグ氏(65)が3日までに、読み書きに困難が伴うディスレクシア(読字障害)で少年期にいじめを受けていたと公表した。「映画が私を救った」と述べ、製作活動を通じ、感じる必要のない恥じらいや罪の意識から救われたと説明。同じ障害のある人たちに「あなたは独りぼっちではない」と呼び掛けた。
学習障害のある若者向けのウェブサイト「フレンズ・オブ・クイン」上のビデオインタビューで公表した。スピルバーグ氏は読字障害のある人々へのメッセージとして「あなたが思うよりよくある障害。読解速度を上げる方法もある。一生付き合うものだが対処の仕方はある」と述べた。
読字障害と診断されたのは5年前。読み書きに悩んでいたことの「謎が解けた」と振り返り、もっと早く診断されていればよかったと話した。
教室では皆の前で教科書を読むことがつらかったと告白。当時は読字障害が知られておらず、特に中学では数多くのいじめを受けたという。支えてくれる先生もいたが、怠けていると判断する人もいたと吐露した。
文章を読む時間が他の人の倍かかるが「ゆっくり読むから非常によく理解できる」と述べた。
日本の支援団体「エッジ」によると、読み書きに困難を伴う人は欧米で人口の10~15%、日本でも5~8%に上る。
スピルバーグ氏は、日本でもヒットした映画「シンドラーのリスト」や「ジュラシック・パーク」「インディ・ジョーンズ」シリーズなどの監督作品で知られる。
[日本経済新聞 2012年10月4日]