今朝の7時過ぎだった。私はリクライニングチェアを倒して横になっていた。
夢だろうか? 私はビルの二階にある喫茶店のような場所にいた。カウンターテーブルを挟んで私の前には西洋系の顔立ちの少しぽっちゃりした初老の婦人が座っていた。白系の小奇麗な服を纏った品の良い女性であった。私は1メートルほど離れて彼女の前にいたが目線は合っていない。彼女は私に気づいていない様子だった(私は肉体で存在していないから気づかないのも当然か)。
その時、誰かが私の心に話しかけてきた。声の主は女性で言葉は英語のようだった。私はすぐに目の前にいるその女性だと感じた。その女性が心の中で私に話しかけている。でも相変わらずその女性は私には気づいていないように見えた。

彼女の中にいるもう一人の彼女が私に話しかけているようだった。何を言っているのかわからなかったがその口調からはやさしさ、愛に似た波動が伝わってきた。私は自然とその言葉(の波動)にすべてを委ねた。

すると突然、私は離脱状態(の感覚)になり店内を左回りに円を描くように移動し始めた。一周もしないうちに店の壁を突き抜けてさらに大きな円を描き出した。円の大きさはどんどん大きくなり移動スピードも加速を続けていた。感覚的には時速100キロメートルくらいに感じるまでになった。


移動中、意識に細波が生じ周囲の景色が消えてしまった。ここで見ようとすると肉体の目が開いてしまう。そうなるとこの世界に引き戻されてしまう。私は周囲の景色を見たい気持ちをぐっと抑えた。

意識が落ち着いてくると周囲が見えてきた。私は森の中を移動していた。森を過ぎるころには、移動速度は大分落ちてきて視界もはっきりしてきた。私は街中の広場のようなところに出た。そこには人が大勢いた。だが生身の人間ではなかった。三次元の世界であったが人々は白黒の絵であった。タッチもやや粗く雑な感じがした。このころには移動半径は数百メートルから1キロメートル近くに達していた。その後私は再び森を抜けて白黒の街へ出た。結局私は二周したところでこの世界に戻った。
これは意識の移動(*1)とは違っていた。何だろう? 似た経験は何度かあるがいずれも左回りだった。何か理由があるのだろうか。それにこの時の私は何だったのだろう? 感覚的には意識の一部を飛ばしていたように感じたが。


(*1)意識の移動は体外離脱の一パターンである。仰向けに寝た状態で自分の意識が頭頂方向に向かってスライドして離脱・移動する。これは自発的に意識をスライドさせて抜け出ることも可能である。移動速度は感覚的には時速30~40キロメートルである。水平移動後すぐに下に向かって落下するように移動し、その後再び水平移動に移る。水平移動になると徐々に速度が落ち、着地する。着地場所は様々である。(砂浜、草原、河原、地下施設、木製の床など不特定)
自発的に意識をスライドさせて抜け出る場合はすぐに急角度で滑るように斜め下へ移動することが多い。そしてすぐに水平移動となり着地する。
このほか、すぐに自然落下より速い速度で下に向かって移動するというパターンもあるがこれは意識の移動とは別物のような感じがする。今回のケースも意識の移動とは違う感じがする。感覚的には意識の移動と体外離脱の中間的なものだ。