『人生ここにあり!!』
監督 ジュリオ・マンフィレドニア
1980年代 北イタリア・トリエステが舞台。

労働組合員のネッロは、ある日組合から移動を命じられる。
彼の移動先は、
精神病院から出された元患者たちの協同組合だった。
1978年にバザーリア法の制定で精神病院が閉鎖されたイタリア。
本作は、実話を元に撮られた映画です。
2009年のイタリア映画祭で上映された時に、
とても気に入ったので、また観に行ってきたの。

原題は「si puo fare」。
2009年のイタリア映画祭の時は
直訳して「やればできるさ」だった。
私は「人生ここにあり」ってタイトルよりも
「やればできるさ」の方が好き!!
「行けばわかるさ」みたいだから

ではなく!!
「やればできるさ」の方が内容にあってるし、
この映画を語る上でキーになる言葉だもん。
精神病患者の話ということで、
「カッコーの巣の上で」のように重い内容かと思いきや、
まったく正反対。
デリケートな問題をここまで笑いを交えながら
提議している監督は天才だと思う。

日本では精神病患者たちは、
身近に精神病患者が居ない人間の生活からは、
隔離されるように、隠されるように
生活している印象がある。
しかし、この映画の中では
一般人と同じ生活空間で生きている
患者たちの姿を映し出している。

解説では精神病患者とあるが、
みたところ知的障害者に近い人たちの物語のように思えた。
この映画の素晴らしいところは、
日本では障害者ゆえに一般的にはタブーとして扱われている問題を
明るく仕上げているところ。
具体的には患者たちの恋愛・性の問題について。
精神安定剤によって意欲が無くなり、
男性としての機能の衰えているという問題を抱えていることや、
障害者ゆえに理解しきれない性への知識、
障害者・患者達も健常者と同じように恋愛を望んでいるという事実。
でね、この映画の中では、
男性の患者を売春宿に連れてっちゃうの(笑)

健常者でもデリケートな部分の話を、
あまりにも当然のように明るく切り抜けてる。
売春宿に行く前と、
家に帰る時の患者たちのテンションの違いが面白すぎた。
「やっぱさ、みんないっしょなんだよ」
みたいに差別意識がないところが素晴らしい。
男なんてみんな一緒(笑)

以前、「セックスボランティア」という本を読んだんだけど、
障害者の性の問題は本当にタブーだって深く理解できる本だった。
でも、その問題に向き合ってる人が沢山いるっていうのも分かった。
何度も言うけど、
そこを笑い飛ばしながら解決するところがイタリアは素晴らしい。
- セックスボランティア/河合 香織
- もちろん理解の無い侮辱にあい、笑い者にされるシーンもある。
- キレイ事だけじゃないというのも、
- しっかり観客に分からせる映画だ。
患者たちを肯定するネロの姿勢も素晴らしい。
「意味の無い作業」から
「市場に参加する仕事」をする意識を
患者たちに持たせるために彼らと会議をするネロ。
意見を求められても
「なにもありません。」
という患者に対して
「ありがとう!重要な意見だ、今後の参考に出来る
『なにもありません』!」
と、意見として受け入れる。
その後も、突拍子の無い意見でもなんでも
「OK!やればできる!!
」
とホワイトボードに意見を書いていく。
何でも
「OK!やればできる(si puo fare)
」
「やればできる(si puo fare)
」
「それも、やればできる(si puo fare)
」
と答えるシーンは
観ている方もなんだか楽しい気持ちになる。
とにかく重くなりがちな内容なのに、
明るさが半端ない。
この笑いと明るさの表現の仕方を見ていると、
監督の映画や登場人物に対する愛情を感じる。
終盤シーンで「それは出来ない(non si puo fare)」と
シャレて台詞を入れたところも、センスが良い。
ストーリーの山場は想像通りの流れだったけど、
終わり方も良かったし、エンドロールの前のコメントにも感動した。
美しく楽しいだけのイタリアじゃなくて、
どの国でも抱えている問題を題材にして、
イタリアらしいやりかたで向き合っているのが素晴らしい!!
人生ここにありー公式ページー
http://jinsei-koko.com/