消えていく | 【インバスケット】鳥原隆志 公式ブログ

消えていく

おはようございます。

インバスケット研究所の
鳥原隆志です。

本日の大阪は雨。

台風のような強風と
雷、そして大粒の雨が
車のフロントガラスに
叩きつけます。

その中、関西空港に
到着しました。

飛行機はどうやら
飛ぶようです。

今から東京に向かいます。


さて、昨日仕事が終わり
難波の駅前を歩いていると

横断歩道を向かいから
見たことある顔の方が
目に入りました。


私の前職、
20代にお世話になった
上司です。

とっさに声を掛け
その方も振り向いてくれました。

私はその方の名前を
覚えていたのですが、

その方は私の顔しか
覚えてなかったようで
とっさに名前が浮かびません。


そして名刺を渡して
今の近況をお話ししました。


するとその方は
名刺に細かくなにか書き込んで
います。

私の特徴や以前の記憶を
書いているようです。


実はその方は
認知症だったのです。
薬で進行を止めているものの、

名刺をもらっても
その人の特徴や以前の記憶
が思い出せないようです。


雑踏の中立ち話でしたが
その方の奥様が去年亡くなられたこと。

娘さんが今年初めに
結婚されたこと。

今は買っているネコと
の一人暮らしであること。

そして今年定年退職になること。

お話を聞きました。

私がご一緒に仕事を
させて頂いたころは
売場に巡回されると
社員が直立不動するほどの

威厳と指導力のある方でした。


今もその威厳は全く
落ちていません。

瞳にも輝きがあり
仕事のことについて
熱く語ってくれます。


しかし、内面は
認知症に侵されて
いるのです。

その方は、私と話し終わると
とっさに携帯電話を
取り出して

私の元上司に電話を掛けます。

どうやら、忘れないうちに
いろんな方とお話しを
したいようです。

その姿を見ていると
なんとも悲しく
切なく思いました。


当たり前のことも
当たり前じゃなくなって

ありがたさがわかるのですね。


私はその方と
以前の職場仲間を集めて
食事会をすることを
約束しました。

無くなったものは
次に作るしかないような
気がしたからです。

笑顔で帰路に向かう
彼の背中は
決して弱弱しくなく
力強いものでした。