年度末スペシャル!暦に関する知識を紹介! (その1・散歩どころではありません!) | カタギリノエンレイソウ広報

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こんにちは。カタギリノエンレイソウ広報の管理者です。
本日より「年度末スペシャル」と題して、暦に関するさまざまな知識・情報をお送りいたします。

本日紹介するものは、年・月・日に関する天文学的な知識です。
 

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散歩どころではありません!今日もわたくしは職場の仕事で忙しいし、コロナウイルス感染症がはびこるご時世、むやみに外出すると肺炎をこじらせます!

年・月・日の長さ
天文学的な事象に基づく年の長さには、地球の公転に基づいて定められ、公転の周期 (恒星年)、季節変化の周期 (太陽年、回帰年、分点年)、地球 - 太陽間の距離変化の周期 (近点年)があります。

天文学的な事象に基づく月の長さには、月の公転に基づいて定められ、公転の周期 (恒星月)、満ち欠けの周期 (朔望月)、赤緯変化の周期 (分点月)、黄緯変化の周期 (交点月)、地球 - 月間の距離変化の周期 (近点月)があります。

天文学的な事象に基づく日の長さには、地球の自転に基づいて定められ、自転の周期 (真恒星日、stellar day、瞬時の春分点付近の恒星を基準に考えた周期のこと)、昼夜の周期 (太陽日、solar day)、恒星時の周期 (恒星日、sidereal day、移動する春分点を基準に考えた自転の周期のこと)があります。

天文学的な事象に基づく年
地球の公転周期 (恒星年)は365.25635太陽日、31558149.766秒 = 365日6時9分9.766秒で、その長さは他の惑星から及ぼされる摂動によってゆっくりと変動していきます (1年間につき0.0000996秒の割合で長くなっていく)。

一方で、季節変化の周期である太陽年の長さ (移動する春分点を基準に考えた公転の周期のことで、太陽の赤緯変化の周期でもある)は365.24218太陽日、31556925.151秒 = 365日5時48分45.151秒であり (2020年1月時点の値)、恒星年より短くなっています。その要因は、地球の自転軸の向きが主に太陽や月からの潮汐力の影響で振れていき (歳差)、春分点 (および秋分点)の位置が公転とは逆の向きに動いているからです。歳差により分点 (黄道と天の赤道が交わる点で、黄道が南から北へ交わる方の点のことを春分点、黄道が北から南へ交わる方の点のことを秋分点という)が動く速さは1年間につき約50.3″であるが、その速さが実は自転軸の傾き (黄道傾斜角)の余弦に依存しており、黄道面 (太陽系重心に関する地球 - 月系重心の角運動量ベクトルに基づいて定義され、地球の公転軌道面に相当)が他の惑星から及ぼされる摂動によって変化する影響 (黄道回転)で黄道傾斜角も変動するため (おおよそ 22.0° ~ 24.5° の間で変動)、太陽年の長さの変動は恒星年に比べて激しいものとなっています (黄道傾斜角とともに約4万年の周期で変動する)。2020年の時点で黄道傾斜角はおよそ 23°26′12″となっていますが、1年間につき約0.468″の割合で小さくなっていく状況のため、太陽年の長さは1年間につき0.00528秒の割合で短くなっていく状況にあります。太陽暦の1年は、普通、季節の変化を重視し、太陽年の長さを基にして決められています。

地球 - 太陽間の距離変化の周期は近点年と呼ばれ、その長さは365.25962太陽日、31558432.591秒 = 365日6時13分52.591秒。地球の公転軌道は楕円状で、地球 - 太陽間の距離はおよそ 1.471×1011m ~ 1.521×1011m の範囲で変動するが、その近日点 (および遠日点)が1年間につき約11.6″の速さで公転と同じ向きに動いているため (黄道回転と同様、主に他の惑星から及ぼされる重力的影響に起因する)、恒星年より少し長くなっています。

天文学的な事象に基づく月
月の公転周期 (恒星月)は27.321661太陽日、2360591.562秒 = 27日7時43分11.562秒で、その長さは月と地球の間に働く潮汐力の影響によってどんどん長くなっていきます (1年間につき0.0001872秒の割合で長くなっていく)。さらに、地球 - 月間の平均距離も1年間につき約38mmの割合で大きくなっていき、1億年も経てば距離は1%遠くなり、皆既日食が地球上で起きるのはあと数億年以内といったところでしょう。

月の満ち欠けの周期 (朔望月)は29.530588太陽日、2551442.882秒 = 29日12時44分2.882秒であり、恒星月より長くなっているのは、月の公転の向きが、地球が月とともに太陽の周りを公転する向きと同じだからです。恒星年の長さの変動が小さいため、朔望月の長さは恒星月とともにどんどん長くなっていきます (1年間につき0.0002180秒の割合で朔望月が長くなっていく)。太陰暦の1か月は、月の満ち欠けを重視し、この朔望月の長さを基にして決められています。

月の赤緯変化の周期 (分点月、移動する春分点を基準に考えた公転の周期のこと)は、27.321581太陽日、2360584.710秒 = 27日7時43分4.710秒となっています。上述の通り春分点の位置が公転とは逆の向きに動いているため、分点月は恒星月より若干短くなっています。

月の黄緯変化の周期 (交点月、移動する公転軌道の昇交点を基準に考えた公転の周期のこと)は、27.212220太陽日、2351135.886秒 = 27日5時5分35.886秒となっています。月の公転軌道は黄道に対しておおよそ5°9′の傾きがあり、その昇交点 (および降交点)の位置が公転とは逆の向きに約18.6年の周期で移動するため (そのような摂動が主に太陽から及ぼされる)、交点月は恒星月よりも短くなっています。

地球 - 月間の距離変化の周期は近点月と呼ばれ、その長さは27.554549太陽日、2380713.093秒 = 27日13時18分33.093秒。月の公転軌道は概ね楕円状で、地球 - 月間の距離はおよそ 356500km ~ 406600km の範囲で変動し、その近点 (および遠点)の位置が公転と同じ向きに約8.85年の周期で動いているため (そのような摂動が主に太陽から及ぼされる)、恒星月よりも長くなっています。また、月の近点移動の速さは2020年の時点で約400.9146″/日 となっていますが、1年間につき約0.00002097″/日 の割合で減速していく状況のため (月の公転運動 (1年間につき約0.00000376″/日 の割合)よりも減速の割合が大きい)、1年間につき0.0008701秒の割合で近点月が短くなっていく状況にあります。

天文学的な事象に基づく日
地球の自転周期 (真恒星日)は23時間56分4.10秒、恒星時の周期 (恒星日)は23時間56分4.09秒で、その差分は0.0084秒となっています (恒星時そのものが春分点を基準とする定義となっているため、歳差の影響を受けている)。さらに、地球が自転軸を傾かせながら自転と同じ向きに約365.256日の周期で公転しているため、1日の長さ (太陽日、昼夜の周期)はほぼ24時間0分0.00秒 (=86400.00秒)となり、地球の自転は1日あたり1.002737812回転していることになります (自転角速度 7.292115×10-12 rad/s)。

地球の自転角速度は絶えず変動しており、さらには月からの潮汐力によって地球の自転は減速していく傾向があり、それによって1日の長さは徐々に長くなっていくことが知られています。実際に、18~19世紀の頃に概ね 86399.999秒 ~ 86400.001秒 に保たれていた1日の長さが1970年代に 86400.004秒 あたりまで長くなったことがあり、数百年から二千数百年前の日食・月食・掩蔽の記録からは、1日の長さが1世紀につき1.7ミリ秒の割合で伸びていることが確かめられます。

なお、時間の単位である「秒」の長さは、古くは1日の長さ (平均太陽日)を元に決めていましたが (1日=24時、1時=60分、1分=60秒)、上述の通り地球の自転角速度は絶えず変動するため、時間の定義としてはそぐわないと判断されてしまいました。そこで、地球の自転に依存しない計量単位としての「秒」の定義が1956年に初めて提示され、「1899年12月31日12時 (グリニッジ平均太陽時)における太陽年の長さの 1/31556925.9747 倍」とされました。その後、1967年に「133Cs 原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の9192631770周期の継続時間」という、原子核が持つ普遍的な現象を利用した定義に改められました。

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