★~自己破産・衝撃の告白…27話
この作業のすべてが終わったのが四日の明け方、美雪はシャワーを浴びてから日の出を待っていた。午前九時に京都地方裁判所に着くと美雪は大きく深呼吸をしてから覚悟を決め、二階の破産係に行きすべての書類をカウンターに重ねて置くと、机に座っていた書記官と目が会い書記官は軽くうなずきながら美雪の持ってきた書類一式を受け取り独り言のように…
「お・く・も・と・み・ゆ・き・ハィハィ…債権者は八名ハィハィ…で、四百五十万円、謄本に住民票ハィハィ…え~陳述書はハィハィ…OKです。それで…郵券をお願いします」と目で合図をしてくれた。
美雪は裕一からこの段取りを聞いていたから売店に行き「自己破産一式」と言うと、切手と印紙のセットをくれて一万円札を出すと千円ほどお釣りをくれた。それを再度破産係へ持っていくと今度は裁判所の封書を渡され、そこに美雪の債権者八名の住所と屋号を書くと今度は書類を渡されて一階別棟の現金出納係に破産予納金約一万五千円を納め「保管金受領書」を貰いそれを読むと「平成十八年フ○○○号事件」と書いてあった。
「あぁ~私もこれで刑務所に収監されている人達と同じになった」と思うと涙が湧いてきたが、これをグッとこらえて破産係へと戻った。書記官は美雪に向かって、
「はい、ごくろうさん、それで先生にお伝え願いたいのですが、この奥本美雪の自己破産は別にこの陳述書を読む限りでは補足も矛盾点もないし…まぁ~これは裁判官が決めることですが、審問はいいでしょう。それはそれとして四月六日に破産決定の判決をします」
「本当にありがとうございます」
「いゃいゃ、それで今日、ついでに免責の手続きを書いといてください」とその書類を美雪に渡した。それを美雪が書いていると、
「ところで、この陳述書は貴女が?」
「はい、苦労しました」
「そりゃ~そうでしょう。たった二年半で学生に金を貢いで四百五十万円も借金する小娘からこれだけのことを聞きだしてまとめるのですから、いゃ~中年の男の先生ではここまでリアルには書けない、自己破産の陳述書の最高傑作ですよ~アッハハハ」
「それじゃ~免責までの八ヶ月間はこのままで?」
「そうですね、書類が完璧ですからもう少し早くなります。九月末ごろに第一回合同債権者会議に出席してもらい、それで一件落着になります、アッハハハ」
美雪は書記官に丁寧にお礼を言ってから、裁判所の階段を二段跳び降りて丸太町通りを全速で走り抜けて京都御苑の森の中の大きな銀杏の樹に抱きつき大きな声で「え~ん、え~ん」とまるで子供に帰ったように泣きじゃくり、心の底から悔いと感謝の涙を誰に遠慮なく流していた。
やがて美雪は京都御所
の梅林の中を人目を避けながらフラ~フラ~と歩き出し、フラワーの入社式から今日までのことを思い出し理恵のことで涙、あや子のことでは涙と、到底地下鉄の乗場へとは行けず蛤御門のベンチで腰を下ろして裕一からの電話を待っていた。美雪の携帯電話が鳴った。
「はい、平成十八年度のフの○○○号です」
「お~美雪ちゃん、大成功か?」
「はい、大成功です。裕一先生のおかげです」
「そうか、それじゃ~追加の書類や不備は点は?」
「はい、それもOKょ~それに陳述書、書記官に誉められたわ~」
「やっぱり今日も法律事務所の事務員に間違われたの」
「そう、先生に伝えてくれと秘密の話も聞いたわ」
「秘密…」
「裕一は、自己破産の審問があって後日裁判所に出頭しなければならないと言っていたけど、書類が完璧だからと審問をせず四月六日に判決だそうよ~」
「そうかい、そんな例はあるとは聞いたことはあるが、それは相当有名な弁護士ぐらいしかないと…美雪、ラッキーだったな」
「本当に、それでこれからどうするの?」
「まず家に帰り、作った通知書に事件番号を入れて八枚コピーしろ、それと予納金の受領書も八枚、それをセットにして青木ファイナンス以外の七社に普通郵便で送れ」
「はい、そうすればどうなるの?」
「その通知が届いた時点で美雪のところにはもう誰も金の請求も催促もできなくなる」
「青木ファイナンスは?」
「青木は少しうるさいので時間稼ぎをする。そう二十五日の夜のポストに入れればよい」
「あのヤクザ、何か言ってくるかしら?」
「そりゃ~百万円も損したのだから電話での嫌味の一つも言ってはくるが、それ事体が違法だから毅然とすればいい」
「でも、あのピンク
サロンや売春で借金を返すという念書は?」
「そんな物を出して来たら警察や金融監督庁に訴えればよい、損をするのは青木で、そんな事は敵も百も承知している」
「それで引き下がるるかしら」
「なんとか頭を使ってくるが暴力は絶対心配がない」
「そうなの、それでハロミスの内容証明郵便は?」
「九日か十日に取りに行けばよい」
「それで…」
「それで、命令に不服のある方は異議申し立てができる書類が同封されているから、その書類に通知書に書いた文面を書いて送り返せばよい。それには郵便切手二千八十円分を同封しなければならないから買って置けばよい。それだけで多分ハロミスは諦めると思う」
「そうなの…そんなに自己破産の申立てが受理されたら効果があるの」
「そうだ、それが良い制度か悪いのかは俺にはわからん。それより受理された後、最後のチャンスだと思い元の生活を取り戻せるのか、再び借金をするのかでその人の人生が変わるのはたしかだ!」
「私はもう充分よ、これで立ち直って彼氏でも見つけて結婚でもするわ」
「おぃおい、美雪、俺はどうなる」
「俺って、こんな私でも裕一、もらってくれるの…」
「俺が美雪を好きなのは美雪も知っているはずだが…」
「そう…でも私は本当に元に戻る覚悟をしているの、過去のことは抹殺するから裕一もそのつもりで」
「わかった、美雪」
美雪は三月四日に破産の申立てをしてから四日後にハロミスの内容証明郵便を受け取った。内容は裕一の予想通りで、
平成18年(ロ)第○○○○号
奥本美雪殿
支払催促
当事者の表示、請求の趣旨・原因は、別紙記載の通り。
債務者は、請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え。
債務者がこの支払催促送達の日から二週間以内に催促異議を申立て
ないときは、債務者の申立てによって仮執行
の宣言をする。
平成18年2月22日
京都簡易裁判所
裁判官書記官 杉本達夫
裕一の指示通りに異議申し立てを書いて郵送すると、その二週間後の三月二十四日に京都簡易裁判所から書留が届いた。
取下書
原告 株式会社 ハロミス
被告 奥本美雪
右当事者間の御庁 平成18年(ハ)第○○○○号
請求事件につき、都合により本日訴訟を取り下げます。
平成18年3月20日
大阪市北区………
右原告 株式会社 ハロミス
右代表者 ……………
京都簡易裁判所 御中
三月二十五日、広瀬に三回目の三万円を持ってSS企画室に行くと、広瀬は相変わらず試着室で目の保養を楽しんでいた。下着の試着室だから当然それ以外の着衣は身につけていないから暖房が効いている。美雪にはそれが熱すぎて、それ以上に女性特有の匂いが充満していて上品で清潔、そしてセクシーなランジェリーを製作する現場とは到底思えない雰囲気がただよっていた。
製品の完成は間近なのか宣伝部がモデルに試着品を着せて写真を撮りながらも偉そうな態度の広瀬と口論していた。広瀬はそれに的外れの反論をしていた。この宣伝部員の古川みどりが美雪に小さな声で「先輩、今夜、お茶」と合図したのでOKの返事を目でしていた。
★~この↓には、ブログ小説「恋のブランコ…シリーズ」7話があります。これもぜひお読みください~♪
★~「タクシーブログ」タクシーのことなら…
京都・ヤサカタクシーが約20年も、違法な赤十字からの緊急血液搬送が発覚!規制緩和もここまでくれば無責任!医療関係者必見のスクープどす。。。
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という無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら
)
kyotoinari@ex.biwa.ne.jp