『ワタシの好きなぼうりょく』終幕。 | なおりんの日々是精進。

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生涯現役の舞台役者を目指す飯田南織がなんとな~く綴る、犬と舞台と時々デザインの日記です。

こんにちは。

ブログでのご報告が大変遅れてしまってすみません。

 

2020年最初の出演作

ベニバラ兎団プロデュースシアターVol.21

『ワタシの好きなぼうりょく』

たくさんの暖かいお客様に見守られ

無事に全公演を終えることができました。

お忙しい中、ご来場くださった皆様、

そしてご来場できずとも応援くださった皆様。

 

この一見、少し難解とも言える作品を

それでも暖かく見守り最後まで見届けてくださって、

そして公演が無事に終演する事を祈ってくださって、

本当に本当にありがとうございました!

 

ベニバラ兎団にとって、かなり異色な作品となった今作。

そんな作品に共に挑んで下さった座組の皆様にも

心から御礼申し上げます。

千秋楽のカーテンコールでも言わせて頂きましたが、

本当に頼もしくて素敵な女優さんしかいない座組でした。

アッコさん&有梨さんの演奏に支えられながら、

この皆様と共に作品を作ることができて本当に幸せでした。

 

そして連日、日替わり&週末限定のSPゲストの皆様にも

多大なる援護射撃をいただきました。

良い意味で毎日違った刺激と追い風を受けながら

千秋楽まで新鮮な気持ちで毎ステージに臨めたのは

皆様のおかげです。

本当にありがとうございました!

今までエンタメ中心の作品を上演してきたベニバラにとって

新たなる挑戦ともいえるような作品に

主演として立つ機会を与えて下さったIZAMさん。
 

かつて北海道の地で誕生したこの物語を、

東京で再び、また違った表現で紐解く事を

お許し下さった脚本の川尻さん。

 

忙しい中、受付お手伝いをしてくれた

緒方夏生ちゃんやベニバラの日比くん。

 

受付やドリンクなどで

お客様をお迎え下さった四谷天窓の皆様、

音響をご担当下さった天窓のクボさん。

 

その他、この公演に携わって下さった全ての皆様に、

この場を借りて心より御礼申し上げます。


本当に本当に有り難うございました・・・!!

 

そして今回、人生をお預けくださった緒方俊信 市長。

本当に本当にお世話になりました。

あなたの人生をお預かりすることができて幸せでした。

 

もちろん今回も私なりに、

彼のこれまでの人生やバックボーンを細かく考え、

それを元に私なりの彼を誕生させて

皆様の前に立たせていただきました。

 

いつもは終演後に、

作品やお預かりした役にご興味を持って下さった方への

せめてもの御礼として、

そういった自分なりの作品や役の考察を書いたりするのですが、

今回はそれはいたしません。

 

今回、何よりも嬉しかったのは、

終演後に本当にたくさんの皆様が今作に思いを巡らせ、

御覧頂いた数々の景色や言葉を

記憶の中から手繰り寄せて意味を模索し、

色々な考察をお書き下さっている事だったりします。

 

「そう!まさにそう思っていました!!」と、

隠された自分の思いがしっかりと伝わっていた事に

感動を覚えてしまうようなご意見も沢山あったり、

「ああ!そんな風に思って頂けたんだ」と驚いて感動したり。。

 

それが、本当に本当に嬉しいのです。

ありがとうございます・・・。

 

だからこそ、私が変に皆様の想像の幅を

狭めるような事はしたくないのです。

(本当はそっちの方が

スッキリされる方も多いのかもしれませんけれど。。)

 

なので、今回は今作を作るにあたって、

フワフワと心の中を過ぎっていった余談的な幾つかを

自身の健忘録として書き残すだけにいたします。

 

単なる長々とした取り留めのない内容となりますので、

お時間がなかったり、ご興味がない方は

どうか読み飛ばしてしまってくださいねあせる

 

それでは。。

 

 

【想像の種】

今回の「ベニバラ版・ワタぼう」は観る人のお心によって

ある意味で幾重もの解釈が生まれる鏡のような、

いつもより少しアートに近い作品だったと思っています。

 

だからこそ、いつも以上に緻密に作りながらも、

その結果を皆様にお届けした後は、

その解釈と意味は皆様のお心と想像に委ねる。

 

なんというか、

今回はいつも以上にその覚悟を決めて臨んだ公演でした。

 

だから御覧下さった皆様の大半が、

「難しかった」「わからなかった」で終わらずに、

想像を巡らせて下さっている事が

本当に嬉しくて、本当に有難くて、幸せなのです。

 

「心の旅」に必要な「想像の種」をお渡しする事が

叶ったように思えて、本当に嬉しい。

本当に本当に有難うございます。

 

【残る言葉】

実は私がこの本を読んだ時に

緒方の台詞で一番強く衝撃を受けたのは、

 

「意味なんてものは、結局のところ、

それを最初に生み出した人間にしかわからない」

「だから、思うんです。

どうせなら、どんなものでもいいから、

自分の生きた証を、残してやろうってね。

意味なんてなくていいんです。

意味を作るのはきっとワタシじゃない。」

 

だったりします。

 

こんな物凄い台詞を

今から10年ほど前に書かれていた川尻さんは、

やっぱり本当に凄い方だと思う。

 

緒方とは別で、何より私自身が、

多分、役者として生きていく以上、

ずっとこの思いと覚悟を背負い続けていくんだろう。

 

言葉になっていなかった

漠然と抱え続けてきた自分の中の思いを

台詞として具現化してもらえた気分でした。

 

【哲学】

私自身が小さい頃から、ずっと思っていたこと。

 

道端に転がっているあの石は、

私にとっては全く意味のないものかもしれないけど、

もしかしたら誰かが大切なペットを埋めたお墓かもしれない。

 

だから怖くて、迂闊にその辺に転がっている石を

動かすことができなかった。

踏むことができなかった。

 

「手」ってなんで「手」って言うんだろう。

誰が決めたんだろう。

なんで皆あたりまえに、これが「手」だって言うんだろう。

 

私が「赤」だと思っているこの色は、

本当にみんなが見ている「赤」と同じ色なのだろうか。

もしかしたら私にとっての「紫」が、

皆にとっての「赤」なのかもしれない。

 

花ってなんだろ、生きてるってなんだろ、

ぬいぐるみに意思がないなんて誰が言えるんだろ、

魚が刺身になった時、

その肉片に本当に意識はないのかな、etc...

 

そんな、確認のしようもない、

一生分かるはずもないようなこと。

この作品の世界の中で生きて、

緒方という男と向き合い、愛の意味を探している間、

そんな小さい頃からのバカみたいな思いが

フラッシュバックのように浮かんでは消えて行きました。

 

変だよ、そんなのみんな考えないよと言われて、

馬鹿にされて、気持ち悪がられて、

次第に人に言うことはなくなったけれど、

でも未だに自分の中でぐるぐると沸き起こり続ける謎。

 

それは今の自分の作品作りの糧であり、

今作の世界観の何かとリンクした部分でもありました。

 

【座組の皆様】

と、なんだかんだ考察に近くなってしまいそうなので、

そろそろお話を切り替えます💦

 

今回の心強き座組の皆様。

本当に本当にお世話になりました!!

 

稽古期間が短い分、本当に濃密な時間を

一緒に過ごさせて頂きました。

 

なによりこの作品はチームワークが命だと思っていたので、

今回、このメンバーでこの作品に臨めた事が

本当に嬉しかったです。

 

緒方はポジション的に皆のドラマを見届けつつも

自身も模索するような役でしたので、

一方的に全員の役に思い入れがあったりしました。

 

左から時計回りで

 

クローバー采音

ハイビームさんでの公演や

シノブカイに続いての共演ができて本当に嬉しかったです!

今回も丁寧に役と向き合って素敵な野方を生み出していました。

采音の野方、本当に愛おしくて、可愛くて、

緒方として終始、大切に見守っていました。

 

クローバー南ちゃん

もう、大好きです。

私が男だったら告白したいくらいに好きです。

年下なのに、もうお母さんのように思っていました。

ちなみに姫ちゃんは実は緒方にとって、

どこか願い求めた母の姿だったのかもしれないと

思ったりもしていました。

 

クローバー神さま

かわいい。。ひたすらに可愛い方でした。

着々と黙々と瀬野という難役に立ち向かっておられました。

稽古中、初めてカメラ越しにあの包帯グルグルの姿を

目の当たりにした時のショックは忘れません。

 

クローバー瑠香ちゃん

ものすごくプロフェッショナルな方✨

でもお互い人見知り同士で勝手に親近感が湧いていました。

打ち上げでお互い人見知りだよねと

逆に盛り上がれて嬉しかったです💕

何でも知りたがる西岡さんは、

形は違えど、緒方的にどこか自分に近いものを感じていて、

それを止めたい思いもありながら見つめていた気がします。

意味を模索し続けると自分みたいに孤独になっちゃうから。

 

クローバー慶子さん

シノブカイ以来の共演ができて嬉しかったです💕

慶子さんがいて下さって心強かったです!

今回も相当ハードな役に真っ直ぐに向かわれていました。

互いの独白は時折リンクしている気がして、

正岡たちの世界は緒方にとって過去の映像の中なので

絶対不可侵な別世界であれど、

より神経を研ぎ澄まして2人の世界を見つめていました。

 

クローバー穂乃果ちゃん

こちらもシノブカイ以来の共演でした。

シノブカイの時にも穂乃果ちゃんの自然なお芝居が

すごく好きだなぁと思っていたのですが、

今回ますます好きになりました...💕

実は横長との2人のシーンが密かに大好きでした。

謎の開放感がありました。

横長に救われた気がしたからかな。

 

そして週末限定SPゲストの皆様。

クローバー天音みほさん

日曜日に参戦してくださいましたラブラブ

もう、可愛い。。

お人形さんみたいに可愛い方でした。

ちゃんと役ごとに髪型を変えて下さったりと、

こだわりをもって全3役を演じ分けてくださいました。

またいつかご一緒できますように✨

本当にありがとうございました!

 

クローバー胡桃沢まひるさん

土曜日に参戦してくださいました💕

舞台に立たれた経験があまりないと仰っていましたが、

そんな事を微塵も感じさせない堂々としたお芝居で

この作品に新しい追い風を吹かせてくださいました。

実は稽古に参加して下さった時、

正岡役の慶子さんがお休みで私が正岡を代役して

女医さんの場面を稽古したのですが、

なんというか物凄く楽しかったです...!

本当にありがとうございました!

 

【三人の妻】

そして今回は「愛のモデル夫婦」のパートナーとして、

3人の妻と組ませていただきました。

 

もはやSPゲストの域を超えた重要な役。

私的にも一番重要なキーパーソンだった

「みちゃみちゃ」こと「みさこ」。

 

3人のみさこと、

それぞれの関係を築けるか稽古前は不安でしたが、

結果的にこの3人のおかげで、

緒方の色々な面が見せられた気がして嬉しかったです。

信頼するこの3人が

みさこを演じて下さって本当に幸せでした。

 

クローバーみやこ

初日&2日目のみちゃみちゃ。

みやことガッツリ2人で絡むのは、

同じく四谷天窓で昨年上演したリリアンEXの[同窓会]以来。

またこの同じ空間で、

みやことしっかりお芝居が出来て嬉しかったです。

 

なんだろ、なんかみやこ版みちゃみちゃとは

お互いにお互いのプライベートがあって、

あまり依存はしてない関係だった気がします。

姉さん女房という感じで

サバサバと緒方を支えて振り回しながらも

めちゃくちゃ可愛らしい一面もある素敵な妻。

 

初日&2日目に塔を登りきった後、

自然と湧き出たあの得がたい感覚は、

みやことじゃなきゃ得られなかった気がします。

本当に本当にありがとうございました。

 

クローバー楓ちゃん

3日目のみちゃみちゃ。

楓ちゃんと2人でしっかり絡めたのは、

みやこと同じく昨年のリリアンEXの[リリアン]以来。

あの時もたった一回のみの組み合わせでしたが、

今回も楓ちゃんとはたった一日のみ。

でもだからこそ、リリアンの時と同じく、

楓ちゃんと今回見た景色が鮮烈に記憶に残っています。

一緒に塔を登る時、一番世界が広がって、ワクワクした。

 

楓ちゃん版みちゃみちゃとは同級生の感覚でした。

お互いの初恋が実って結婚した感じ。

楓ちゃんとの呼吸の合い方が本当に気持ちよくて、

本番も本当に心底楽しかったです。

本当に本当にありがとう。

 

クローバー悠帆

そして4日目&楽日のみちゃみちゃ。

よくコンビを組む悠帆と、

今までにない関係性で絡むことができて楽しかったです。

 

実は悠帆版のみちゃみちゃとは、

ここでは書きませんが、より深い裏設定があったりしました。

一番、お互いの過去や生い立ちを知っている関係。

幼馴染のような、それ故にどこか兄と妹のような、

そんな近い距離感で関係を作っていました。

その設定ゆえに、

最後の「人間で良かった」を聞いた時の感動は、

悠帆の時が一番強かった気がします。

本当に本当にありがとう。

 

3人3様のみちゃみちゃ達。

それぞれがそれぞれの形のアプローチで役を作り、

緒方を支えてくれました。

誰が一番良かったとか本当に一切なくて、

皆が本当にみさこで、

皆がそれぞれに私の胸を打つ瞬間が違って、

本当に役者さんの数だけ表現の仕方があるのだと

改めて感動しました。

いろいろな景色を見ることができて本当に幸せでした。

 

本当にありがとうございました。

 

【生演奏】

クローバー有梨さん

そして土曜日限定でピアノ生演奏をしてくださった有梨さん💕

稽古にも沢山足を運んでくださって、

この作品の出来上がる過程をずっと見守ってくださいました。

かなり楽曲と深く同調する作りだった今作。

それを1日のみ演奏なんて、

本当に大変だしプレッシャーもあった事と思いますが、

本番ではそんな事少しも感じさせない荘厳な演奏で、

今作を支えてくださいました!

本当に本当にありがとうございました!

 

クローバーアッコさん

そして、もう戦友だと思っているアッコさん!

この作品はアッコさん無くして完成しなかったと思っています。

今回も本当に素晴らしい、

心に寄り添った演奏で私たちを支えてくださいました。

なんというか、緒方は俯瞰的に皆を見ながらも、

一方で自身もものすごい苦悩と葛藤の渦中にいて、

だから全編通してすごく孤独な瞬間が多かったのですが、

そんな時に更にそのもう一歩外でアッコさんが

緒方をも見守って演奏で寄り添って下さっているのが、

本当に本当に心強くて、心底救われていました。

演奏で時に煽り、時に癒し、時に鼓舞して、

皆を支えて下さって本当に本当にありがとうございました。

またアッコさんの演奏で芝居ができる日を楽しみに

精進いたします。

 

【戴き物】

と、そして今回も本当に素敵な贈り物をいただきました。

 

ご来場いただけるだけで嬉しいのに、

お心のこもった贈り物やお手紙を贈ってくださり

本当にありがとうございます...!!!

 

皆さまから頂いたお気持ちに恥じぬよう、

これからも舞台上からご恩返しができるように

精進を続けて参ります。

 

本当に本当にありがとうございました...!!

 

【最後に】

と、やっぱり今回も長くなってしまいました。。

ここまでお読みくださった皆様、本当に有難うございます💦

 

最後にご挨拶を書いて、

一度私の中でこの作品の幕を下ろしたいと思います。

この度は『ワタシの好きなぼうりょく』に

ご来場、応援下さり本当にありがとうございました。

 

人生を預けてくれた緒方市長にも、

心から感謝致します。

どこまで貴方の背負った人生を

客席の皆様にお届けできたかは分かりませんが、

今の自分にできる精一杯+αの力で臨ませていただきました。

 

自身の反省点は多々あれど、

それは口に出さずに今後の生涯にわたる修行の道の

糧として活かして参ります。

 

出演者、関係者一同、

悩みに悩んで試行錯誤してお届けした

『ワタシの好きなぼうりょく』。

 

ご来場くださり、共に空間を共有して

この作品に客席からご参加くださった皆様に、

改めて感謝御礼申し上げます。

皆様の暖かいお気持ちに力を頂き、
最後まで走り抜くことができました。

 

ある意味でベニバラ兎団にとっての挑戦ともなった今作。

そんな作品に立つ事ができて幸せでした。

 

皆様のお心の片隅に、

何か一つだけでも、

残る景色をお届けできたのであれば幸いです。

 

本当に本当にありがとうございました。