日経ビジネス2008年11月17日号の巻頭「有訓無訓」に、木次乳業相談役の佐藤忠吉氏が寄稿されていました。
木次乳業と聞いたとき、京都在住の折に、近所の有機野菜などを多く取り扱うスーパーでよく買っていた、木次乳業の牛乳のことを思い出しました。木次パスチャライズ牛乳という、パスチャライズド法(LTLT 法)で低音殺菌された、とても風味がよくなめらかなのど越しの牛乳です。値段は普通の牛乳と比べて1.5倍から2倍しましたが、当時はかなりのファンでした。関東に戻ってきてからは、取り扱いのある店があまりないせいか、飲んでいないのですが・・・。
その木次乳業にブラウンスイス牛乳という商品があることを、今回の記事で始めて知りました。山地酪農という、山に放牧した乳牛の乳を使った、非常に珍しい商品です。
佐藤氏は山地酪農について、「山では穀物はできません。では、山をどう利用するか考える。山の奥に集落があって、まだこの奥に誰かがおってくれると思えば安心できる。その人たちが出てきてしまったら山は崩壊する。この山の奥の人が安心して暮らすための方法が、山地酪農です。」とおっしゃっています。
山地酪農は、豊かな自然と共存できる理想的な酪農ですが、牛から取れる乳量が少ないなど経済性の面で難しい酪農でもあります。その山地酪農にあえて取り組む木次乳業の、理想を追う経営姿勢に感銘を受けました。
また、佐藤氏の「地方は活性化するより、沈静化したほうがいいと思う」とのコメントには考えさせられました。佐藤氏の真意は、「ある地域が活性化するということは、隣の誰かが貧乏になっていくということ。地球という閉鎖社会で考えたら、そう考えざるを得ないでしょう。」という言葉にこめられています。
隣が貧乏になる地方活性化より、地方沈静化。ぜひ何度も反芻し、考えたい言葉です。