徹子の部屋に飾られた火の鳥の衣装を見ていたら、ふと、藤本タツキさんが描いた羽生結弦選手のイラストを思い出しました。こちらは2017年のキシリトール特別書き下ろしです。ファンの中では、当時は好みが分かれたものでしたけれど、プロローグやGIFTを見終わってからだと、また、ちがって見えます。羽生選手の深い奥底に隠れている部分を捉えていらっしゃるようにも見えました。なんというかすべてを背負っている。なのに表情は苦しさとかではなくて、静かすぎる覚悟、立ち上る蒼い闘志のようなものが感じられますよね。
羽生結弦選手×『ファイアパンチ』の藤本タツキがコラボイラスト描き下ろし!
— ジャンプSQ.編集部 (@JUMP_SQ) 2017年8月16日
17日発売の「週刊ヤングジャンプ」38号に掲載予定!!!
炎と氷の対比……!見かけたら是非にお手に取って頂ければ〜!/林 pic.twitter.com/HBFUl5ITDM
ファイアパンチの表紙を並べてみます。
なんだか不思議ですね。炎と🔥氷の対比🧊
ファイアパンチは飢餓と氷の世界。死にたくても死ねない主人公。突然、理不尽にすべてを奪われる。そんな残酷なことの絶え間ない繰り返しが続きます。何一つ悪いことなどしていないのに、無機質に奪われていく命。目を背けたくなる残酷な描写も多くあります。この世界観の根底にあるのは、もしかしたら、藤本さんの体験によるものもあるかもしれません。
1992年秋田県に生まれた藤本さん
近所のおじいさん、おばあさんが
通うような絵画教室で油絵を習い
その後、山形の美大へ入学。
そして東日本大震災が起きて
石巻へ住宅の泥の掻き出しをする
ボランティアに参加されました。
後に、出版された17-21の
あとがきの中で、このように
語っています。
“17歳からずっと
その無力感のような
ものがつきまとっています。
また何度か悲しい事件がある度
自分のやってることが
なんの役にも立たない感覚が
大きくなっていきました”
そして、作品を書く原動力として
このようにも語っています。
藤本タツキさんの描く作品や、登場人物は残酷なほど死がつきまといます。身勝手で命などなんとも思わない人たちがたくさん登場します。読んで嬉しくなるという作品ではないのですが、だからこそ、誰かの期待に応えたり、夢や願いを託されて、頑張るしかない主人公の葛藤が愛おしくもなるのかもしれません。2017年では、よく理解できなかったのに、今、見ると、なぜか心を揺さぶられたのでご紹介しました✨