石川力男・・・１
【まずは 荒筋を】
犬は三日も飼えば一生恩を忘れないという
仁義（親分子分）の関係が絶対的なヤクザ社会では
犬以上にその関係は守られなければならない
石川力夫・・・
この男 あろうことか 自分の親分
（新宿の大親分（和田 薫）に切りつけ
逃げ延び救いを請うて頼って行き
金から食事まで何一つ不自由なく
面倒を見てくれた
兄弟分（今井幸三郎）を殺し・・・
強姦で手にした若く奇麗な妻（地恵子）までも
嘆き苦しませ自殺に追い遣った
麻薬に溺れ・・・追手の死の影に怯え
両肺は空洞 やせ細り 顔は土色
目だけは異様にギラギラとし
幽鬼に充ちた凄惨な姿の
男が常園寺を訪ねてきた
男は住職の（当時の・及川真学）に
「墓を建てて下さい墓石にはこう刻んで下さい」
【仁義 今井幸三郎 石川力夫之墓】
麻薬密売所に入り浸り動かぬ石川を売り子が
和田組に通告した
組長和田薫の弟 正久と
松原末勝（後の・和田組長老）は
屋台の肉切り包丁を持ち
石川の背中を深々と刺し貫いた
「とどめは いいだろう」
この石川力夫は何処までも死から見放されている
一命を取り止めたのである・・・
石川は殺人罪及び未遂罪の罪で１０年の判決を受け
府中刑務所に送られた
１９５４年 １月 ２４日・・・妻 地恵子の誕生日
石川力夫は 妻 地恵子を追う様に刑務所の
屋上から１５メートル下の地上に身を躍らせた
常園寺の墓守りをしている
水谷いとさん（故人・当時７３歳）は言う
「石川さんの墓参りに来る人は今もいます・・・・・
時々・・それは美しい女の人が人目をしのぶ
ようにやって来ます・・・旦那さんや子供さんが
いる人なんでしょう いつも一人で来るんですよ
若い・その筋の人がどかどかやってきて
是が有名な・・・
石川力夫をモデルにした映画で
「午前零時の出獄」で一躍
世に知れた為
「石川力夫の墓か カッコいい」
そういって墓標の 【仁義】だけを見て
喜んで帰っていくのだという
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