◆朝から暑いね。ゴミ袋をふたつ持って、ジイチャン、これから走りに行ってくるからな。ハヤブサにもタヌキにも気を付けろよ。他の仲間に大声で知らせろよ。 

 

 

◆朝のテレビは騒いでいるね、昨日よりも今日の方が暑くなると。我が街の防災放送も熱中症にご用心、無用な外出は避けましょう・・・そう警報を鳴らすようになった。僕は「無用ではない」外出をする。今日はまず、キウイの救出から。この下のキウイは中が黄色の品種。よく出来ている。ただ、足元をドクダミでふさがれ、ヤブカラシに絡みつかれ、近くのプルーンに光を遮られている。プルーンの木はここに4本ある。38年前、僕はプルーンへの憧れがあったんだね。しかしダメだった。花が咲いたのは2回だけ。そのうち1回、小さな実らしきものはなったが、いつの間にか消えてしまった。今日、キウイの救出作戦を行いながら、もうプルーンへの未練は捨てたほうがいいかも、バッサリ切り捨てたほうがいいかも・・・そんなことを考えた。 

 

 

◆正午少し前に畑から部屋に戻り、ランチを始めたが、直射日光の当たる外よりも部屋の中の方が息苦しい。ランチをすませて荷造りにかかる。今日の荷物は仙台行き。人参、カボチャ、ピーマン、トマト、キュウリ、ジャガイモ、大根、ソーメンカボチャ、ブルーベリー、卵15個。 

 

 

◆荷造りの途中、ほんのちょっと休憩して珈琲をいれる。僕はどんなに暑くとも珈琲はホット。アイスでは飲まない。荷造り現場のすぐそばに太陽光発電のインバーターがある。湯が沸騰した。これでモンカフェを飲むのだ。 

 

 

◆荷造りを終えたところにあのチビチャンがやってくる。もう大人だからチビチャンはおかしいのだが、他に名前がない。3月、ヒヨコの頃、ハヤブサにさらわれた。ハヤブサの鋭いくちばしにくわえられ、悲鳴を上げながら空を舞って行くチビチャンを僕はむなしく見送った。しか奇跡が起こった。なんとその日の夕刻、深い傷を負いながら僕の所に帰って来た。その日から5日間。僕は治療と介護に全力を尽くした。そして回復した。その治療と介護を今も覚えているのだろう、チビチャンは時々僕のそばに来てクククッと話しかけてくる。 

 

 

◆午後5時40分、今日最後の仕事にかかろう。マクワウリが草に取り囲まれている。スッキリさせてやろう。その僕をブヨの奴らが集中攻撃してくる。顔や耳にとりつくブヨは何十匹もだ。痒い、痛い。同じ刺されるのなら蚊のほうがずっといい。6時50分に仕事を終えた。