今日はローリングベイトというルアー、そして、そのコピーの話をします。
出典:タックルハウス
ローリングベイトは、タックルハウスから2003年に発売されたシーバス用のルアーで、ジャンルはバイブレーションになります。
従来のシーバス用・バス用のバイブレーションといえば、頭から尻尾まで全てを震わして、操作している手元までブルブルと伝わってくるアクションが基本でした。
しかし、このローリングベイトは、体を左右に傾けるローリングと呼ばれるアクションが売りで、何より「これさえ持っていればシーバスは釣れる」というくらい、魚を引き寄せるルアーでした。
開発がどんどん進んでいるルアーフィッシングの市場において、約20年間、現在までシェアを保ったまま一戦を駆け抜けてきたのは、その当時から続く評判と、確かな実績があってのことだと思います。
自分の中では、20年も愛されたシーバスルアーは、レンジバイブとローリングベイトの他には知りません。
さて、話は少し変わって中国製のコピールアーの話になりますが、
現在ではたくさんある中国パクリルアーの中で、10年ほど前に真っ先に注目を浴びたのがローリングベイトのコピーだったことは皆さんは知っていますか?
今でこそリーズナブルでそこそこな釣り具を販売するメーカーとして、amazonを中心に展開している「オルルド釣具」が、
本家にそっくりなルアーとして販売し始めたことがきっかけです。
今思えば、中国製コピールアー自体の始祖(はじまり)は、おそらくここだったと思います。
そこから数年で瞬く間に日本国内に溢れかえった中国コピールアーですが、昨今では様々なものが存在します。
そのほとんどが、一時のブームで加熱しては消え去って行くものが多いですが、ローリングベイトのコピーは、今でも安定して存在しています。
そして本家のローリングベイト同様に、安定して売れています。
コピー商品自体も、本家の市場の動向に伴って変わるんですね。
ここからは憶測ですが、なぜコピーするに当たってローリングベイトに白羽の矢が立ったか、コピーだったとしても売れているのか、考えてみたいと思います。
まず第1に良い評判と安定した市場価格があったこと。
釣れるルアーとしての評判があり、中古釣り具屋でもずっと安定した値段で販売されている。
こういった背景があるため、「だったら値段が半分以下で買えるコピーでいいや」、こういった、こだわりがない層がコピーを買っているというわけです。
第二に、タックルハウスがローリングベイトの特許申請をしていない。
コピールアーを販売するにあたって、販売者が最も恐れているのが「本家のメーカーから訴えられること」です。
これに関してはバスデイのレンジバイブもそうなのですが、なんと昔からあるシーバスルアーの2大巨頭とも呼ばれる、この2つのルアーは、両方とも特許申請をしていないのです。
だからコピールアーが多く出回ったんですね。
今となっては不動の地位を築いたため、そんなことをせずともコピーを跳ねのけるほどの売り上げが安定してあると思いますが、
大体のルアーメーカーがしている特許申請を、今に至るまでしなかったタックルハウスの決断は、よほどの自信があったのかと思わされます。
第三に、内部構造がさほど難しくない。
最近のルアーは、遠投するために中にマグネットのウェイトやバネが入っているなど、内部構造が緻密で、それ自体が特許出願されている場合があります。
しかし、ローリングベイトの場合は、固定重心で、そこまで特殊な内部構造をしていません。
ルアーのアクション自体が内部構造に伴ってしているものではないので、正直な話、ルアーから型取りだけしてしまえば、簡単にコピーできるというわけです。
また、見た目で「ローリングベイトだ!」とわかる特殊な形状をしているので、パッと見で人を惹きつけますし、
本家より格段に安いなら使ってみようか、となるわけです。