【秋の曇天】暑くもなく寒くもなく風があっていい季節ですね。ママチャリのご婦人に訊かれた【日曜日】 | 稲次将人オフィシャルブログ「イナよイヤよも好きのうち」Powered by Ameba

【秋の曇天】暑くもなく寒くもなく風があっていい季節ですね。ママチャリのご婦人に訊かれた【日曜日】


「こだいらに行くにはどう行けばいいですか?」いきなりだった。俺の前に急に現れたママチャリのご婦人は、まるで俺に逢いにきたみたいに俺の前にすっと停まった。



 前かごにレジ袋に入った品物を入れておられるみたいで、買い物帰りのようだ。



「国分寺からまっすぐ北に行けば行けるんですが――」



 これからステージに立つダンサーというよりは、子供が何人かいる母という感じがした。



 きっと右ななめうしろの方角だ。しばらくしてそう思ったが遅かった。



 俺なら自転車を漕ぎながら、太陽など出てなくてもなんとなく嗅覚でそこにたどり着ける。きっとあのご婦人もそんな自信があってママチャリを走らせてんだろう。



 たぶんこっちの方角です――と俺が言うより少し速くご婦人は見切りをつけ、「ああ、いいです、いいです」そう言って120°ぐらい北の方角にゆっくりと自転車を進めていかれた。



 こっちの方角です――は元より、屋根のかたちがシュッとなっててかっこいいです――とかは言うまもなかった。