将来俳優になるだろうと思った | 稲次将人オフィシャルブログ「イナよイヤよも好きのうち」Powered by Ameba

将来俳優になるだろうと思った

それは大学三年か四年のときでした。

森林植物学の実習で秩父かたぶん千葉の演習林だったと思います。

夜中にランニングしていて鹿を見たから、たぶん千葉で間違いないと思う。

何日間か宿泊していたときです。

僕の夢はプロボクサーでした。

アイドルはパーネル“スイートピー”ウィテカー、打たせないボクシングを目指したのはその頃だと思います。

かつては恋心を抱いた人もいたんですが、現実のスピードに流されているような焦りと虚しさを伴ったもどかしい毎日を感じていて、記憶が飛ぶような有様になっていたはずです。

採集した樹木の標本が自分のだけ不自然なほど非常に少なかったのを覚えています。

将来についても漠然とした不安がありました。

同期の“サネ”と“ジッちゃん”と何かを語り合ったのを覚えています。

サネは弁護士志望で、ジッちゃんは演劇をやってました。

演習林での日々の途切れ途切れの記憶を辿るとき、唯一と言っていい、克明に思い出せることがありました。

内容は後でビデオを観た記憶に塗り替わってますが、映像の記憶があるのは確かです。

テレビドラマの再放送だったと思われます。

特に唐沢寿明さんの映像。

あの実習が94年ぐらいだったとすると“愛という名のもとに”の再放送だったんじゃないかと思うんです。

あのトレンディードラマは初回放送が92年1月期で、僕のテレビが93年上半期製。

だからあれは再放送だったことになる。

あれが僕が俳優という仕事を職業として意識した瞬間だったと思います。