木の葉の緑も深まってまいりました。
5月下旬ともなると、季節はもう初夏といったところでしょうか。
先日、網戸についていたナガレアブのことがどうしても気になったので、早速、近所の渓流へ行ってきました。
自宅から徒歩1分の川。
少し前の雨の影響で、川の水量はまだ多め。
ウエーダー(同長靴)を履いて、川通しに進みます。
川岸の草の上や石の上を丹念に探して進むと↓
クロサナエ? Davidius fujiama ? の羽化
サナエトンボは漢字で書くと「早苗蜻蛉」。
ちょうど、田植えが真っ盛りのこの時期の、早苗ということばがぴったりな蜻蛉です。
それにしても、近所の川でこれほどたくさん羽化しているとは、いやはや驚きました。
さてさて、目的のナガレアブを探してさらに進みます。
「お~、シブキバエ!」
シブキバエの一種 Clinocerinae sp.
水がかかる石の上にいたのはオドリバエ科のシブキバエの一種。
長い脚でシャカシャカと逃げていきます。
私の中では、渓流の定番になりつつあるハエです。
「ん?…これは、シブキバエじゃないな。あれ?Acanthocnema!?」
ナガレフンバエの一種 Acanthocnema sp.
シブキバエと同じように水のかかる石の上にいて、同じように足の長いこちらのハエ。
顔はシブキバエとは異なり、コバエ(無弁類)やハエ(有弁類)に近い印象。
シブキバエよりも活動性が鈍く、かなり近寄っての撮影もできました。
ナガレフンバエの仲間は1986年に記載されたトゲアシナガレフンバエ A. longispinaとソラヌマナガレフンバエ A. sternalisが知られています。
私はこれまで目にしたことがなかったので、いくつか標本を採集し、家で鑑定。
すると、どうも既知の種には当てはまらない点が・・・
「・・・おいおい、ひょっとしてNew?なーんちゃって・・・」
本州でナガレフンバエの仲間が記録されていたのが岩手県の早池峰だけ(←私がわかる範囲では)なのですから、長野県に別の種が存在していても不思議ではないでしょう。
早合点はもちろん禁物ですが、 国内未記録や未記載種である可能性も含めて、慎重に調べなければならないハエに出会ってしまったということです!!
まったく、ナガレアブを探しに行ったってのに、別のよくわからない面白いハエに出会ってしまうなんて・・・ふふっ。
ホント、ハエ研究はやめられませんっ!!!(笑)