風の冷たさが和らぐ頃、学生時代によく通った竜飛岬のことが思い出されます。

 

強風の中、北を目指す鳥たち。

ノスリの集団、雁や白鳥の編隊、小鳥の群れとそれを狙うハイタカやハヤブサ・・・

 

今も、昼夜問わず多くの鳥たちが、北を目指して旅をしていることでしょう。

またそれを追う人たちも、旅をしていることと思います。

 

皆さんの無事を祈ります。

(写真)竜飛岬を渡るノスリ

 

数年前の春、本州から北海道へ渡るフェリーに乗った時のこと、

甲板の手すりに1羽のツグミがいました。

 

(写真)八戸‐苫小牧航路上の甲板にいたツグミ

 

日本からはるか北のシベリアを目指していたのでしょう。

よく見ると脚の片方が変形しており、どうやら脚の骨が折れているようでした。

 

あのツグミが、その年の春の子育てに参加できたかどうかはわかりません。

 

ですが、どんなに苦しい状況でも、与えられた命を全うしようという姿勢がそこにありました。

 

宿命とは、文字通り命に宿るもののことでしょう。

鳥類の渡り衝動は、深くDNAに刻み込まれたまさに宿命なのです。