海上コンテナは、日本の鉄道では輸送できないとされています。

特定のコンテナとは言え、確かにその通りです。

 

 

では、なぜ輸送できないのでしょうか。

 

問題は、コンテナの高さにあります。

 

 

 

主要な海上コンテナのサイズは、以下のようになっています。(単位:mm)

 

(型式)  (全長)  X  (全幅) X  (全高)

1AAA 12,192 X 2,438 X 2,896 (40ftハイキューブ)

1AA  12,192 X 2,438 X 2,591 (40ft)

1CC   6,058 X 2,438 X 2,591 (20ft)

1EEE 13,716 X 2,438 X 2,896 (45ft)

 

31ft  9,410 X 2,490 X 2,605

20ft  6,150 X 2,490 X 2,500

12ft  5,192 X 2,450 X 2,500

 

 

JRのコンテナと比較して、幅は同等ですが、長さと高さが違います。

海上コンテナの1AAAや1AAは、長さから40ftコンテナとも呼ばれ、JRの31ftより3m近くも長いコンテナです。

ただ、一般的なコンテナ貨車では、1両に2個、31ft型を積むことができるので、1両に1個の40ftコンテナを積むことはできます。

 

問題は、やはり高さなのです。

特に、俗にハイキューブと呼ばれる1AAA型は、約30cmも違います。

これが、国内の鉄道に搭載できない理由なのです。

 

ハイキューブを無視し、ハイキューブ以外を鉄道で、ハイキューブだけをトラック輸送する案も考えられます。

海上コンテナのタイプ別の比率は、大雑把に、40ftが5割、ハイキューブが4割、その他が1割です。

鉄道輸送できないコンテナが4割もあるのでは、コンテナ港に引込線を建設するメリットを見出せません。

また、今後は40ftハイキューブが増えると予想されるので、何とかハイキューブを鉄道で輸送したいところです。

 

 

鉄道には、車両限界があり、そのサイズ以下に収めないと、トンネルや鉄橋、様々な設備と接触する恐れがあります。

車両限界は、矩形ではなく、複雑な形状となっています。幹線と地方線でも、異なります。

幹線に限定して説明すると、高さは、最大で4100mmですが、半径1850mmの円弧状に制限されています。

そのため、幅2438mmを確保するのであれば、線路からの高さ制限は、3641mmになります。

ハイキューブは、高さが2896mmあるので、コンテナ貨車の床面は、レール面から750mm以下に抑える必要があります。

 

この課題を難しくするのは、台車です。

台車の上に貨車のフレームが乗り、その上にコンテナを積載します。

なので、台車の高さが、貨車の床面の高さを制限します。

台車の高さは、ほぼ車輪径で決まります。

車輪径は、一般には、810mmが多く使われているそうです。

そうすると、台車の全高は、最低でも810mmは必要になります。

 

前述のように、貨車の床面の地上高を750mm以下にする必要があります。

なので、車輪径を小さくしなければなりません。

 

そこで、車輪径を610mmに小径化したコンテナ貨車(コキ73形貨車)が開発され、現在、実証実験が行われているそうです。

コキ73形の床面は、740mmまで低くなっています。

前述の750mmをクリアしています。

 

 

コキ73形が、1EEEコンテナ(45ftハイキューブ)を輸送できるのか、不明です。

総重量は40ft(1AAA)と変わらず、長さの問題だけなので、おそらく積載可能だろうと思います。

 

実は、45ftコンテナをトラック輸送するのは、容易ではないのです。

道路交通法では、車両の大きさを、全長12m以内、全幅2.5m以内、全高3.8m以内、総重量25t以内と定めています。(輪重、軸重等、他にも色々あります)

一見してわかるように、全長と総重量が、基準を超えています。

第五輪を考えると、全高も超えると思われます。

 

そこで、法改正して、40ftコンテナを輸送できるように、該当車両の全長16.5m、全高4.1m、総重量44tに規制を緩和しています。

(従来の基準では、トレーラーは全長15mだったので、1.5mの緩和)

ですが、対応できる道路は限られます。

また、45ftコンテナを輸送するには、全長の余裕がありません。

45ftコンテナは、それ自体が13.716mもあるため、トラクター(牽引車)のキャビンとケーブル処理スペース等に残されるスペースは、2.784mしかありません。

これでは、現実には牽引できません。

 

仮に、追加的に規制緩和しても、道路事情が追いつかない(交差点での旋回半径等)ので、輸送可能な道路はかなり制限されてしまいます。

世間では、2024年問題が話題になっていますが、45ftコンテナを運搬できる高い技量のトラクター運転手の獲得は、更に深刻になります。

 

 

海上コンテナの鉄道輸送は、喫緊の課題であり、かつ突破口は開かれています。

残る課題は、過去にも書いたコンテナ港への引込線の建設です。

真剣に考えていかないと、日本は世界から取り残されることになります。

 

 

 

 

でもねぇ・・・

 

日本政府は、軍備増強にしか興味がないようです。

総裁選では、経済を言う候補は多いのですが、中身がないと言うか、口だけの印象です。

 

このままでは、経済は大きく失速し、海外から食糧を買えなくなるかもしれません。

そうなってしまった時には、強盗のように、武力で他国の食糧を奪いに行くのでしょうか。

武力だけは、強化しつつあるので、食糧を買えなくなったら、他国の食糧を強盗するしかありまさん。

 

本当に、心配です。