前回は、左利きを例に、社会的圧力との関係を考えました。

 

では、男女平等はどうでしょうか。

 

 

男女は、権利の上で、原則として平等であるべきです。

ですが、権利が平等でも、それぞれの業種で男女比が同じになることとは別です。

 

男女比に大きな開きがある理由を、社会的圧力に求める傾向がありますが、それは正しいのでしょうか。

社会的圧力が皆無とは言いませんし、社会的圧力が掛からないように、法整備すべきだと思います。

 

ただ、男女比に差が生じる要因は、社会的圧力以外にもあることは確実です。

 

 

 

例えば、保育士は、圧倒的に女性が多い職種です。

この職業は、男性には不向きなのです。

 

哺乳類には、連れ子殺しの習性があります。

残念ながら、人類にも多少は残っています。

そのため、幼児は、本能的に親族以外の成人男性を避けます。

これは、男性保育士には、壁になります。

もちろん、時間を掛ければ、幼児も男性保育士に慣れますが、女性保育士には敵いません。

 

一方、男性が圧倒的に多い職種の一つが、消防士でしょう。

これは、筋力が必要な職種だからです。

握力でも背筋力でも、女性は、男性の6割程度の筋力しかありません。

体重比でも、男性の8割程度しかありません、

標準偏差を踏まえると、筋力の絶対値で男性の平均値と同等の力を持つ女性は、1000人に1人くらいです。

男性でも平均以上の筋力を必要とする職業は、女性には厳しいと言うしかありません。

 

社会的圧力だけで、職種の男女比が決まっているわけではありません。

様々な要因で、男女比が生まれているのです。

 

むしろ、社会的圧力は、それほど大きな影響はないように思えます。

 

 

 

 

看護師は、女性が圧倒的に多く、男女比は、2:23です。

同じ医療関係でも、医師の男女比は、3:1くらいなので、逆転どころではない比率です。

「男性は医師、女性は看護師」との社会的圧力が掛かっているなら、医師の男女比と看護師の男女比は、なぜ大きな差があるのでしょうか。

男女比の要因が同じ「社会的圧力」なら、同じ医療分野だから、男女比も、比率自体は同程度の逆数になるはずです。

つまり、男女比には、少なくとも「社会的圧力」以外の要因があるということです。

 

 

 

前回は、人類に左利きが少ない理由を考えました。

 

言葉を発達させる過程で、左脳が優位脳となり、左脳が司る右半身が優先的に使うようになったため、右利きが増えたとの結論を得ました。

(ゴリラの研究から、右利きは言語獲得以前に由来する可能性も指摘されています)

また、社会的圧力は、それほど強くないと考えられる事例も、紹介しました。

 

右利きが多いのは、必然と考えられます。

 

職種の男女比も、必然の部分が少なからずあるはずです。

 

 

 

現在、政治によって、男女比の目標が設定されることがありますが、これの妥当性はどうなのでしょうか。

必然を考慮できているのでしょうか。

議論を聞いていると、「必然」は無視されているように感じます。

 

「必然」を無視して男女比の目標を設定すると、それは新たな社会的圧力になり得ます。

その点は、キチンと認識しておかなければなりません。