五輪の女子ボクシングで、性別適格性検査で不合格になった選手が参戦し、対戦相手が危険を感じて試合放棄してしまう事態が発生しました。

 
IOC(国際オリンピック委員会)は、「全ての人は、差別なくスポーツをする権利がある」と表明しました。
その根拠として、「パリ五輪のボクシングトーナメントに参加する全ての選手は、大会の資格と参加規定、パリ2024ボクシングユニットが定めた全ての医療規定を遵守している」としました。
また、「これまでのボクシング競技と同様に、選手の性別と年齢はパスポートに基づいて決定される」としました。
 
 
 
かなり違和感のある判断です。
 
 
1.肉体の男女差
 
五輪に限らず、男女を分けて競技を行うのは、男女の体力に大きな差があるからです。
筋力は、同じ体重でも、男性は女性の1.3倍くらい強いのです。
この差は、ボクシングの階級なら、3〜4階級くらいに相当します。
 
パワーは、スピードにも影響します。
男女の対戦なら、男子の最軽量級(五輪では51kg級)は、女子の最重量級(五輪では75kg級)と同等以上ではないかと、想像します。
 
 
男子の肉体を持つ選手と対戦した女子選手が危険を感じたのは、当たり前の話です。
 
 
 
ボクシングでは、脳へのダメージは、首の強さが関係します。
ここでも、男女の差があります。
同じ身長でも、男子の方が4%くらい首が太いのです。
男子の筋力を持つ選手が、女子選手とボクシングをすれば、女子選手は危険に晒されます。
 
 
 
 
2.判定方法の例
 
男女の差は、性染色体に由来します。
Y染色体があると、体は男性化します。
簡単に言うと、Y染色体のSRY遺伝子が性原器に作用して、性原器を男性化します。これから分泌される性ホルモンによって、本格的に男性の体に変わっていきます。
途中で、女性ホルモンを投与しても、程度の差はあっても肉体の男性化が進んでいるので、女性ホルモンの投与時期や投与量で線引きするのは困難です。
なので、性染色体で判断するのが、妥当な基準だろうと思います。
 
 
昔、女子陸上選手が新記録を連発したのですが、性別適格性検査で「男」と判定され、記録が抹消されたそうです。
陸上競技なら、性別適格性検査の不合格者が女子競技に参加しても、記録や勝負くらいで済むかもしれませんが、格闘技は、命にも関わる場合があります。
 
男女の性差を踏まえた区別が、格闘技は特に大切です。
 
 
 
 
3.選手の権利
 
IOCは、「全ての人は、差別なくスポーツをする権利がある」と言いますが、ピントがズレています。
 
性別適格性検査が不合格でも、男子としては、競技に出られます。
「差別なくスポーツをする権利」は、失われていません。
 
「女子として出場したい」との希望を満たさないのは、差別になるのでしょうか。
例えば、「年齢は小学生のつもりだ」と主張する大人をU12の試合に出場させないのは、差別でしょうか。
「太ったつもりはない」と言う選手を、実体重より下の階級に出場させないことは、差別でしょうか。
 
女子選手が、「遺伝的に女性同士で競技する権利」を求めたなら、それを認めないのは差別にあたらないのでしょうか。
 
 
 
性転換者(ここではMtoF)は、天然の男性ホルモンで男性化した後、女性ホルモンや手術によって部分的に女性化しています。
天然のドーピングのようなものです。
 
このような選手を女子として参加させるなら、対抗策として、女子のドーピングを認めるのでしょうか。
認めないなら、一緒に競わせるのは不公平です。
ドーピングを認めるなら、選手の健康管理は崩壊します。
 
 
 
 
4.男子・女子以外の分類
 
公平性を重視するなら、性適格性検査で不合格になった選手は、男子として出場させることです。
あるいは、男子でも女子でもない分類を作るべきです。
 
近年、義足の性能が向上し、短距離走では健常者の記録を超えつつあります。
車椅子マラソンでは、健常者の記録を大きく超えています。
ですが、出場はパラリンピックになります。
 
同じように、性同一性障害者の五輪への参加は、独自のクラス分けをしても、道義的な問題はないと思います。
 
むしろ、女子格闘技競技への性転換者の参加は、本来の女子選手の生命・身体への危険性があるので、キチンと禁止すべきでしょう。
 
 
 
 
5.どんな種目に性転換者や性分化疾患が多く出場しているか
 
ちょっと気付いたことがあります。
 
格闘技は、男子が圧倒的に有利になります。
でも、競技によっては、男女差が問題にならなかったり、逆転するものもあるように思います。
 
例えば、乗馬です。
どうしても女子として五輪に出たいなら、乗馬を選択する自由があります。
現行のルールでも、何の問題もなく、出場できます。
なぜ、乗馬ではなく、ボクシングなのでしょうか。
 
体操競技も、女子種目は、男子が演じても難しいように思います。
床や跳馬では、技によっては女子が先に成功させた例もあります。
また、男子にはない平均台や段違い平行棒は、女子の柔軟さが求められるように見えるので、男子より女子が有利かもしれません。
男子のトップ選手が女子体操に参加しても、優勝できないかもしれません。
もちろん、男子の種目は力技が多いので、女子選手が参戦しても、勝ち目は全くありません。
 
 
一方、ボクシングは、男子が圧倒的に有利です。
 
女子は、グーを作っても、ボクシングのパンチの形にはなりません。
大概は、親指が横に突き出る形で握ってしまいます。
男子は、グーが自然にボクシングのパンチの形になります。
手首の角度も、女子はパンチをする形にはなりません。
おそらく、女子の体の作り自体が、ボクシングには不向きなのでしょう。
ボクシングなら、男子はほんの少しの練習で、同階級の女子に勝てるようになるだろうと思います。
 
これって、不公平ではないでしょうか。
 
各国の代表が競う五輪で、元・男子のメリットで女子より少ない努力で出てくるのは、五輪の精神とは少々ズレがあるように思えるのです。
 
 
 
 
性転換者や性分化疾患の選手が五輪で活躍するのは、男子が圧倒的に有利な種目に限られているように思います。
これは、選手個人の努力ではなく、性差が利いている証拠ではないでしょうか。
 
性適格性検査で不合格になる選手を女子として競わせるのは、不公平だし、場合によっては危険なので、直ちに検討に入るべきでしょう。
 
 
 
 
6.まとめ
 
個人の性的指向の権利に拘っていたら、女子競技そのものが崩壊してしまいます。
 
それをIOCが理解していれば良いのですが・・・