アメリカの大学生の感性は、素晴らしいですね。

イスラエルのガザへの攻撃に対して、強く非難してきました。

 

先日も、キャンパスで座り込みをしていました。

その際は、強制排除の上、「約半数が部外者だ」とされ、外部から扇動されたように印象付けられてしまいました。

ですが、今回は、卒業式において、卒業生の挨拶の中でガザ攻撃を非難しました。

また、一部は、卒業式を途中退席し、大学外でデモを行いました。

これで、ガザ攻撃への非難は、学生の意見であることが明確になりました。

 

これに対して、大学は、卒業取消等の強硬な手段に訴えました。

 

 

 

 

学生達が求めていたは、一般市民の犠牲が出ているガザ攻撃をやめさせるため、せめて大学がイスラエルに協力しないように、大学からユダヤ系企業への寄付の打ち切りでした。

ところが、「ユダヤ人への迫害の恐れがある」として、学生の要求を完全に無視した上で、キャンパスからの強制排除に出たのです。

「約半数が部外者」との声明は、強制排除を正当化するための方便に聞こえます。

 

 

ユダヤ人への迫害の恐れと、パレスチナ市民の殺害では、どちらを問題視すべきか、明らかです。

 

片方は、「恐れがある」だけで、実際にはユダヤ人学生も、抗議に参加していました。

むしろ、ガザへの攻撃を止める方が、ユダヤ人への反感が減り、迫害の危険も下がるはずです。だから、ユダヤ人学生も参加したのかもしれません。

 

一方、パレスチナ市民の犠牲は、既に3万人を超えている現実の問題です。

しかも、日々、犠牲者数は増えています。

どう考えても、優先すべきは、パレスチナ市民の保護であり、ガザ攻撃の停止です。

 

 

 

国際刑事裁判所は、イスラエルのネタニヤフらと、ハマスのシンワルらに、逮捕状を請求しました。

また、国際司法裁判所は、イスラエルによるラファ攻撃の即時停止の暫定措置を命じました。

 

これらは、アメリカの学生達の要求と同じ方向性です。

もしかすると、人質解放を主とするイスラエル国民に近い考え方かもしれません。

 

アメリカ政府や大学経営陣の考え方は、明らかにネタニヤフ寄りですが、イスラエル国民と一致しているとは言い切れません。

これは、帝国主義的な発想であり、ウクライナ侵攻に反対する目的も、民主主義を守ることではなく、帝国主義になってしまいます。

そもそも、ダブルスタンダードです。

これでは、アメリカに賛同できない国が増えていきます。

実際、スペイン、ノルウェー、アイルランドは、パレスチナ承認へと進み始めました。

事の発端を踏まえると、やや先行し過ぎた感はありますが、イスラエルが極端なハマス壊滅策を取り、アメリカがイスラエルの暴走を容認したために、パレスチナ支持も極端化してしまったのです。

アメリカが、ダブルスタンダードを取らず、早い時点でイスラエルに自制を求めていれば、こんな事態にはならなかったはずです。

 

 

 

学生達の行動は、アメリカの未来に一条の光を感じさせます。

 

ダブルスタンダードは、盲信する国以外は、協同歩調を取りにくいものです。

普遍的な方向性を示し、周辺国へ発信していくことで、関係を深めていくのです。

やがて、大きな力となり、発言力も強まります。

 

残念なことに、日本は、政府も学生も、目立った動きは伝えられていません。そもそも、政府の方向性自体が、明らかになっていません。

この状況は、日本の未来を暗くしているように感じます。