台湾の花蓮沖の地震では、地震の規模に比べて、死者数が少ない印象です。

 

ほぼ同じ規模の地震だった能登半島地震と比較すると、以下のようになります。

 

能登半島地震

・死者行方不明:241名、負傷:1299名

 

台湾花蓮沖地震

・死者行方不明: 19名、負傷:1144名

 

 

花蓮市周辺は、能登半島より人口密度が低いわけではなく、震源も浅く、海岸に近い場所で発生しています。

ですが,台湾花蓮沖地震の死者行方不明は、かなり少なく抑えられています。

死傷者を少なく抑えることができた理由の一つが、大きな火災がなかったことがあると思います。

また、救助活動が早く、日頃からの訓練が有効だったとの話も聞きます。

 

 

 

他には、耐震構造にあると思います。

 

今回の地震では、多くの建物が傾きました。

これは、日本でも見られました。

でも、日本と台湾を除くと、このような状態の建物を見ることは、まずありません。

傾いても、原型を留めたまま立っているのです。

 

日本や台湾以外では、ビルが傾いた瞬間に崩落し、瓦礫の山と化すのが普通です。

耐震構造の中層以下のビルは、横方向の応力に耐えられる設計です。

なので、傾いても、簡単には崩落しません。

例えば、30度傾いた場合、490gal相当の加速度が掛かります。

耐震構造で、この程度で倒壊するようでは、話になりません。

今回の地震で傾いたままのビルが多いのは、一つには、耐震構造があると思います。

 

 

それにしても、傾いたビルが多いですね。

日本でも、ビルが傾くことがありますが、台湾ほど多くない印象です。

その違いは、1999年の建築基準法の改正があると思われます。

阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)では、1階がピロティーのビルで、1階が座屈を起こす事例が発生したため、建築基準法改正の理由の一つになったと記憶しています。

 

ですが、耐震基準の大きな変化は、1981年の改正が大きいと聞いたことがあります。

その切っ掛けになったのが、1978年の宮城県沖地震です。

 

 

 

日本は、地震大国と言われ、過去の長い経験を基に、耐震構造を進化させてきました。

それと、真正面から比較できる台湾の耐震構造は、そう馬鹿にしたものではないとおもいます。

 

耐震構造は、建築費を跳ね上げます。

耐震構造を推進したいが、ままならない国もあります。

台湾は、経済成長を背景に、耐震構造を強化してきたのです。

これを馬鹿にしていると、経済成長が止まった日本は、追い抜かれることになります。

 

現に、台湾は、同規模の地震での死傷者数を、日本と同等以下に抑えるところまできています。

参考になる点も、少なからずあるように思えます。

 

未だに、「日本すごい!」と思っているようでは、日本の未来は暗いですね。

 

 

 

 

井の中の蛙、大海を知らず

 

 

 

近年の日本は、狭い視野による自惚れてばかりになっているように思えてなりません。