今回は、地震予知の三要素の中の場所について、考えていきます。

 

 

 

 

実は、場所は、地震の規模が分かれば、自動的にわかる性質のものです。

 

 

地震の規模を知るためには、震源断層面積を知る必要がありましたね。

震源断層面積を知るためには、アスペリティや、滑りの連鎖の範囲を知る必要がありました。

 

震源は、例えば、アスペリティの中にあるはずです。

よって、場所の予測は、アスペリティの範囲内に絞ることができます。

 

滑りの連鎖で地震の規模を予測する場合、滑りの開始点が震源なので、場所の予測はピンポイントで可能になります。

 

 

つまり、地震の規模を正確に予測できるなら、場所の予測は、震源断層面積と同等か、それより狭い範囲に絞れることになります。

 

 

 

さて、地震の規模と震源断層面積の関係は、概ね、以下のようになります。

 

・M4.0       1km2

・M5.0      10km2

・M6.0     100km2

・M7.0    1000km2

・M8.0   10000km2

・M9.0  100000km2

(※剛性率は30GPa、平均変位量は震源断層面積の平方根の0.004%で計算)

 

 

これは、目安程度の大雑把な計算です。

ただ、剛性率や平均変位量を低めに計算したので、これより震源断層面積が広いことはないだろうと思います。

ということは、地震の規模が正確に予測できるなら、場所の予測範囲は、上記の範囲の中に収まるはずです。

 

仮に、震源断層が真円とすると、それぞれの半径は、下記のようになります。

 

・M4.0    0.57km

・M5.0    1.8km

・M6.0    5.7km

・M7.0   18km

・M8.0   57km

・M9.0  180km

 

 

かなり狭い範囲です。

 

もちろん、真円になるわけではなく、例えば、チリ地震(1960年5月22日)では、長軸と短軸の比は、5対1くらいでした。

ですが、それでも1000km × 200kmくらいの範囲です。

チリ地震は、M9.5だったので、前述の計算では、半径は320kmになります。

差し渡しでは640kmなので、1000kmでも1.5倍ほどです。

真円に換算した場合の2倍も見ておけば、予測範囲として充分です。

 

ただ、震源断層の形状がわからなければ、断層面積も算出できません。地震の規模を予測できるなら、逆説的に、震源断層の形状もわかっていることになります。

であれば、少なくとも震源域の場所は、正確にわかっているはずなのです。

 

震源断層の面積から真円に換算して、その2倍もあれば、ほぼ間違いなく、その中に震源(破壊の出発転倒)はあるはずなのです。

 

 

 

規模を予測できる前に、場所は予測可能になります。

 

めでたし、めでたし!!